▲携帯電話でカード機能もOK〓KTF、SKテレコム、LGテレコムなど、移動通信各社が「携帯電話による支払い・決済ビジネス(モバイルコマース、Mコマース)」に本腰を入れている。
KTFは、5月、Mコマース専用端末機を市販したのに続き、今月末、機能がアップグレードされた「2次」端末機を市販する予定だ。SKテレコム、LGテレコムも11月から本格的にユーザーと加盟店の募集に乗り出す。
SKテレコムMファイナンス本部の金ホソン課長は、「ここ1年間、200人の社員にMコマースの機能が上乗せされた携帯電話を配って、ソウル鐘路区瑞麟洞(チョンノグ・ソリンドン)のSK本社地下アーケードなどで、1年間テストを行ってきた」と述べた。
Mコマースとは、携帯電話を使った商取り引きで、カード機能を携帯電話に取り付けることで、プラスチックカード代わりに携帯電話で支払うことをいう。いろいろな会社のカードを携帯電話一本に貯蔵して、財布をスリムに維持することができるうえ、決済する際、カードが人の手に渡されないなど、セキュリティも優れていることから、次世代決済サービスとして脚光を浴びている。
携帯電話をクレジットカード代わりに使うためには、移動通信会社で購入したMコマース専用の端末機とクレジットカード社で発給したICチップが要る。カード会社に加入申請をすれば、郵便で届けてもらい、このチップを携帯電話本体に挿入する。
決済する際は、カードのマグネチックで「スクラッチ」する代わり、テレビリモコンのように携帯電話の赤外線で「照射」する。携帯電話の内部にクレジットカードが隠されている形で、カード代金と通話料金が別々に請求される。ユーザーが望む場合、カード代金だけを延滞することもできる。
▲変わる顧客管理〓例えば、ユーザーが東大邱(トンテグ)のトールゲートを通過したことを感知した通信会社が、彼の携帯電話に文字メッセージを送ることができる。「5ヵ月ぶりの故郷ですね。秋夕(チュソク、旧盆)のお土産で、わが提携会社の×マートで、アンマ機を用意されたらいかがですか。2ヵ月前におとうさんが肩の関節炎の治療を受けられたでしょう」。
こうした広告は、顧客の取り引き情報を持っている、つまりチップを所有した事業者のみできる。このため通信各社とカード会社は、チップを所有するために激しい神経戦を繰り広げている。
カード会社は「機能上、従来のカードと一緒だから、チップは当然カード会社の所有」と主張している。しかし、カード会社に比べて、通信会社が力を伸ばしている傾向なので、結果はまだ未知数だ。
▲通信会社の力が大きくなるわけは?〓顧客が商店で携帯電話で照射すれば、加盟店の決済端末機を管理する付加価値通信(VAN)業者が、顧客情報をカード会社に送り、カード会社は顧客を確認してから支払いを承認する。従来のカード取り引きでは、10あまりのVAN業者とクレジットカード会社が、複雑なネットワークを構成してサービスを行ってきた。このため、顧客はカードの種類に関係なく、信用取り引きを行えた。
しかし、携帯電話決済では通信会社がこの決済ネットワークとは別途に、VAN業者を直接管理するという立場を示している。つまり、VAN業者が「KTF派」と、このほど提携を結んだ「SK−LG派」に分かれるものだ。
通信各社は、VAN業者について株式投資に加え、カード会社から受け取る手数料も再投資するなど、信用決済ネットワークの占領に力を入れている。KTFファイナンス事業チームの金ソンフン・チームリーダーは、「この傾向が続けば、加盟店では016・018用専用端末機(KTF派)と011・019用端末機「SK−LG派」の2台を設置しなければならない」と述べた。
昨年9月、SKテレコムと三星(サムスン)・LGカード、ハナ銀行が提携して作った「MONETA」カードの場合、金融会社はSKテレコムに提携手数料として取り引き額の1.1%を支払っている。従来の手数料の0.2〜0.3%に比べれば、破格な条件だ。カード会社の関係者は、「これは市場のヘゲモニーが通信会社に傾いていることを示している」と述べた。
最近、SKテレコムなど通信会社が、Mコマースサービスを進めるため、提携するカード会社を募集する過程で、2.1%の手数料を要求し、カード会社が呆気に取られたことがある。カード会社は「通信会社が主導権を握っている以上、誰かはOKするのではないか」という反応を見せた。
▲カード会社は付き添いに過ぎない?〓不安感を感じた一部カード会社は共同で通信会社への対応策を探っている。重複投資を防ぐため、情報通信部が遅まきながら仲裁に乗り出しており、通信会社とカード会社、学会の有識者が参加した中で、技術小委員会が8月末から3回にわたって開かれた。しかし「技術標準が異なる」として通信各社の意見は食い違ったままだ。
国民カードの商品開発チーム、ソ・ウォンジャン部長は、「カード会社と通信会社、それから通信会社間の意見の差を縮めなければ、最悪の場合、Mコマースが『シティーホン』のようなやっかい物に転落しかねない」と述べた。
現在Mコマースのユーザーは約1万人、Mコマース向けの決済端末機を設置した加盟店は2万ヵ所。クレジットカードのように、Mコマースを気楽に使うために必要な加盟店の数は約200万ヵ所だ。
羅成鎏 cpu@donga.com






