韓国と中国は23日で国交樹立10周年を迎える。2日にはソウルで両国外相会談が開かれ、過去10年間、両国の間で行われた協力と発展を高く評価し、今後の韓中関係をさらに一段階高いレベルに引き上げるため全面的に協力することを確認している。しかし、両国間には、このような明るい面とともに痛切な思いを禁じえない暗い面も潜んでいる。北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)を脱出し、中国に逃げ隠れて戦々恐々としながら暮らしている北朝鮮同胞の問題がまさにそれだ。
数万とも数十万とも言われる北朝鮮脱出者たちは餓死を免れるため、北朝鮮を脱出した経済難民だ。体制に反対して政治闘争をして北朝鮮を脱出し、中国に亡命するいわゆる難民条約上の政治難民ではない。大多数の北朝鮮脱出者たちの動機は最初は経済的なものだった。ところが、彼らを扱う中国の施策に適応していくうちに、その性格が変質しつつある。中国は、脱出が始まった初期には北朝鮮脱出者に目をつぶる政策を取った。過去の中国の大躍進運動や文化革命時代に満州の中朝国境地域に住む多数の中国人が、生活苦のため北朝鮮に流れ込んだことを思い起したからだ。しかし、不法入国者の数が日増しに増え続けると、北朝鮮側が脱出者たちを送還させるべきだと、中朝条約上の義務(条約内容は非公開)が中国側にあることを強く主張してから状況は次第に変わってきた。脱出者たちを取り締まり始めたのだ。
中国当局の取り締まりが始まってから、脱出者たちの境遇は変わりつつある。まず、言葉が通じて生活定着金が支給され国籍を与える韓国や、少なくとも移民を認めて永住権を与える国への脱出を選択するケースだ。これまでにソウルへの脱出に成功した人は約1400人にのぼる。こういう状況下で、経済難民としての性格が政治難民に変わってくる。第二に、人権を完全に放棄し自分の体を奴隷のように売り渡し、苦難の生活を送るケースだ。第三に、監視網を避けて逃避生活をしながら、生計を立てるため犯罪の道に陥るケースだ。第四は、当局に捕まり、北朝鮮に強制送還されるケースだ。
筆者は、中国政府が一切の北朝鮮脱出者の強制送還を留保し、脱出者問題を表面化させ、彼らに「臨時寄留証明書」を発給し、韓国など国際社会の協力を得て、言葉や技術訓練を行ったうえで、能力に応じて職場をあっ旋する。そして、北朝鮮の経済事情が改善され次第、北朝鮮に帰れるようにする措置を取ることを提案する。
米国には、中国に劣らない多くの不法入国者がいるが、適当な機会にこれを表面化させ、国家共同体に参加させ、米国の法と秩序に適応するように誘導している。中国が米国のようにはできないとしても、大国であり56の少数民族を抱擁する多民族国家として、生活苦に悩んで中国に流れ込みさまよう北朝鮮住民たちに、人間として生存できる最小限の条件は提供すべきであり、提供できるはずだ。これまでに中国政府が、外交的に困難な状況に追い込まれながらも、相当数の北朝鮮脱出者たちを寛大に処遇した配慮を高く評価しながらも、より大きく、より実質的な温情が求められていることを指摘したい。そうなるとき、国交10周年の意義は一段と輝くだろう。
李栄一(イ・ヨンイル)韓中文化協会会長(元国会議員)






