北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の警備艇が29日、西海(ソヘ)で起こした武力挑発は、どんな弁明をしても容赦できないことだ。韓国軍当局によると、北朝鮮の警備艇は同日、北方限界線(NLL)を超えて南下し、韓国海軍の高速艇に「意図的な先制攻撃」を敢行し、韓国軍将兵25人の死傷者を出す蛮行を犯した。これは北朝鮮の明白な休戦協定違反であると同時に、これまでの南北の和解・協力ムードを正面から否定する行動にほかならない。
北朝鮮側の軍事挑発が、どういう背景で、どういう思惑から行われたかとは関係なく、われわれは北朝鮮に対して、大きな背信の気持ちを感じざるを得ない。われわれは、これまで同民族への愛と人道的な見地から北朝鮮の困難に理解を示し、これを共に克服するため努力してきた。政府は、先頭に立って北朝鮮への経済協力策を模索しながら、毎年コメと肥料などを欠かさずに送ってきた。数多い非政府組織(NGO)たちも、数々の困難もいとわず北朝鮮住民たちを援助してきた。にもかかわらず、北朝鮮側の警備艇は「NLLを超えている。早く北朝鮮側に帰れ」とした、韓国側の警告放送を無視し、先制射撃を行っってきたのだ。
北朝鮮側の挑発は、現政権が絶えず唱えてきた太陽政策が現実とかけ離れていることを端的に示すものと言える。太陽政策が、いくら北朝鮮の改革と開放を促進させ、南北の和解と協力を図る政策だとしても、北朝鮮側は大きく変わっていないことが、今回の挑発で如実に露呈した。太陽政策に対する信頼性に疑問符をつけざるを得ない理由だ。
南北は2000年6月の6・15南北共同声明発表以降、6回の閣僚級会談と4回の離散家族再会を行うなど、お互いに相当の和解ムードを作ってきたのも事実だ。しかし北朝鮮側は、南北交流に誠意を見せておらず、合意事項も目の前で破るような非理性的な態度を見せてきた。そういう北朝鮮側が、今度は武力挑発までほしいままにして、韓半島周辺の緊張を高めているのだ。
政府は、北朝鮮が、これ以上「一匹狼式」の振る舞いを取らないよう、強力かつ徹底的な対応措置を講じるべきだ。過去のように、南北対話がどうのとか、米朝対話がどうのと云々しながら北朝鮮側の顔色だけうかがうような姿勢は、絶対に避けるべきだ。北朝鮮側が、仮にも対北朝鮮政策をめぐる韓国内部のかっとうを最大限に利用しながら、我々の安保態勢を軽く見て武力挑発行為に出たのだとすれば、これは座視できないことだ。
北朝鮮は、今回の事件に対して全責任を取らなければならない。歴史的なW杯4強進出で全土が祭りムードに包まれているのに、この喜びを分かち合おうとするどころか、武力挑発で水をさすような行動は、理性を失ったも同然だ。全世界がW杯のお祭りードで騒いでいる。そんなところで武力挑発を犯した北朝鮮を、国際社会がどう見るかは火を見るよりも明らかだ。
北朝鮮が、少しでも国際社会の信頼を回復するには、今回のような武力挑発の再発防止を約束するのはもちろん、休戦協定違反に対する謝罪と賠償を行うべきだ。そうしなければ、北朝鮮は国際社会からさらにそっぽを向けられることになるだろう。






