昨年末「債務不履行(デフォルト)」を宣言したアルゼンチンに次いで、ブラジル、ウルグアイ、ベネズエラなど、南米の主要経済国が続々と金融危機に陥っている。
デフォルト宣言の可能性が最も高いのは、南米最大の経済大国ブラジル。米国の信用格付け機関のムーディーズは20日、ブラジル国債の信用格付けの見通しを「安定的」から「否定的」に下方修正した。英国のフィッチICBA社もこの日、ブラジルの格付けを「BB−」から「B+」に下げた。1億ドルを緊急投入したブラジル中央銀行の介入にもかかわらず、20日のレアル貨は1ドル=2.77レアルと、99年以来の最低値に落ち込んだ。同日、サンパウロ証券市場のボベスパ指数も5.1%に暴落、昨年の米国の同時多発テロ以来、最も大きな下げ幅を記録した。
ブラジルの危機の最も直接的な原因は、10月の大統領選挙で、左派性向の労働者党(PT)を率いるルイス・イナシオ・ダ・シルバ候補の勝利が予想されることから、次期政権の経済政策に対する不安を感じた外国人投資家らが資金を引き出しているため。ブラジルに275億ドルを投資したモーガンスタンレー、メリルリンチなど米国の大手投資銀行も新規投資を止め、債権の回収に乗り出した。
94年に政権の座についたフェルナンド・エンリケ・カルドス大統領の放漫な財政支出で、公共負債がアルゼンチンの2倍近い290億ドルに迫っているのも、経済不安を一層強めている。ブラジルはまた、昨年最大の貿易国であるアルゼンチンの経済難で、輸出が30%以上急減するなど、対外的な経済条件も悪化している。
ウルグアイも、金融不安による直接的な被害を被っている。「南米のスイス」と呼ばれるほど金融の安定を維持してきたウルグアイは、今年初め、アルゼンチンの経済難を避けてウルグアイの銀行に流れ込んでいた資金が米国、ヨーロッパなどに流出、預金総額の35%以上が減少した。
ウルグアイのアルベルト・ベンシオン経済相は20日、緊急記者会見を開き、現行の固定為替レート制をあきらめ、ペソの自由変動為替レート制を実施することを明らかにした。事実上の平価切り下げを意味するもので、ブラジルの経済危機が広がることにともなう自国経済の破たんを防ぐための非常手段と解釈されている。
今年4月、ウゴ・チャべス大統領を退かせるためのクーデターが発生したベネズエラは、今年の財政赤字を埋め合わせるため、海外から35億ドルの資金誘致をはかったものの、目標資金の10%程度の調達に止まった。ペルーでは、国営企業の民営化に反対する反政府デモが続き、16日には戒厳令が出された。
国際通貨基金(IMF)は18日、危機の拡大を防ぐため、ブラジルに48億ドル、ウルグアイに15億ドルを追加支援することにした。
鄭美京 mickey@donga.com






