米国の経済が不安だ。ドル安が急激に進み、株式市場では先週末、先端企業の株価が、昨年9月11日の米同時多発テロ事件以来の最安値を記録した。保守的な国際通貨基金(IMF)さえも米国の金融危機を警告しているというのだから、すでに対岸の火事ではなくなった。
米国の経済不安は、米企業の収益性の悪化によるものだが、その波長は世界経済の全般に影響を及ぼしている。まずは米国に集中していた金が漏り始め、世界金融市場の不安がさらに高まっている。ロンドン証券市場の株価も昨年9月以降の最安値に下落しており、アジアの証券市場も下落傾向となっている。
昨年のテロ事件以降、速いスピードの景気回復ぶりで自信を取り戻していた米国が、果たして金融危機に陥るようになるか、それともうまく収拾できるかどうかは不確実だ。しかし、IMFが株価の下落を警告しているだけでなく、間接的原因となっているエンロン社関連事件で分った会計操作問題が短期間に解決され難いという専門家らの指摘から考えても、見通しは明るくない。
米経済が「クシャミ」をすると、韓国経済は「インフルエンザ」にかかってしまうという話もあるが、韓国にとっては他人事ではない。米国から流れ出て来る金が韓国など新興市場に入ってこないということに深刻性がある。
韓国経済もすでにその影響圏内に入った。今年4月初めに1ドル1300ウォン台だったドルの為替レートが2カ月後には1220ウォン台へと、9%をも下落し、輸出企業がむずかしい状況に陥っており、綜合株価指数も800台前後を行き来するほど下落したのがその証拠だ。
いまサッカーの2002年韓国・日本ワールドカップ大会(W杯)という国民的祭りの最中で、年末には新しい大統領を選ばなければならない状況だが、外国マスコミのほめ言葉に慣れていると、外部の経済環境の変化への警戒を怠りやすい。韓国には、5年前、ずさんな経済管理ゆえに通貨危機に巻き込まれた経験がある。政府と企業は万が一の事態に備えた対策を講じておかなければならないだろう。






