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[オピニオン]科学者の夢を育てられる環境作りを

[オピニオン]科学者の夢を育てられる環境作りを

Posted February. 08, 2002 09:38,   

21世紀に入ってもう2年経つ。20世紀の電子時代から21世紀は光(量子)の時代だという言葉がすでに日常生活に浸透しつつある。

最近、量子コンピューターまで登場し、クローンをうんぬんするほど最先端科学がすでに実生活に浸透している現実の中で、教育の実態を省みると気分が憂うつになるのはどうしようもない。

最近登録の受付が終わったソウル大学の理科大学と工科大学工学系の登録率がそれぞれ81.9%、81.7%と史上最低値を記録したという。反面、医科、法科、人文系列の登録率は97〜99%という相当高い水準だった。

こうした現象が一時的なものだと考えられないのは、理科系の学問が相当難しく、経済的な富を約束できないという、不安心理から始まったのかもしれないというありきたりの言葉では慰められなれない事態になったのではないか、とみるためだ。

高校生たちが理科系の勉強を避ける現象は、大学入試の修学能力試験(日本のセンター試験に当たる)の成績とも関係なくはない。

相対的に点数を取るのが難しい理科系よりは人文系を好むのは、学校の現場からでもその例をたやすく見て取ることができる。

だが、まず学校の現場や周りで、生徒たちに科学と技術に対する理解を助けられる、充分な機会を与えたかどうか、を聞いてみたい。

例えば、小学校の児童たちが大学のよく準備された理工系の科学実験室で自然科学教育を受けるとすれば、児童の反応はどうだろうか。

結果は当然、参加したすべての小学生の反応は99%以上の満足感を感じると同時に、科学に対する理解と関心がだいぶ増えて、今後科学者という困難な道を選ぶことをちゅうちょしなかった。

また、学校の授業でわからないことを知るために、自ら進んでインターネットを利用して情報や資料を得ている。このように教育は動くものだ。わたしたちが常に口にする学問に対する「愛着」は「理解」することから始まっているのだ。

基礎科学の重要性をいくら強調し、その国の経済の基本になると力説しても、基礎科学を理解できるように経験させないと、単なる空念仏に終わるということを知るべきだ。

子どもの教育に費やされる教育費が全体教育費の80%以上を占めているという。こうした韓国教育の現状下では両親たちが好む専門職を得るために進学を決めるのが最善の選択だ、と言い切れるだろう。

子どもたちが興味を持って、生涯続けられる好きな学問分野を選択できるようにするのが子どもの幸せではないだろうか。

わたしたちはエール大学の英才専門家であり、教育心理学者のスタンバーグ博士が指摘した、子どもを「知的に成功した人」に育てるのはどうかと、提案してみたい。

「知的に成功した人」とは、根本的に重要なのは知識ではなく、智恵であり、知的に成功した人は興味と知識をもとにして論理力と協力性を持ち備えた創造的な問題解決者だと定義している。これこそ今後韓国経済を主導するリーダーたる、望ましい人間像ではないか。

とくに科学者として必要な条件だと思う。事実、わたしたちは経済をあまりにも簡単にとらえている。

単に多くの金を儲けることが他の基準よりも最優先する要素だとみるために、理工系出身の創造的な知識人よりは、医科や法科出身の専門職が好まれているのだ。これには医師や弁護士などの専門職の方が社会的なステータスが保障されるという社会の空気も一役買っていると思われる。

だが、実際は世界一の富豪であるビル・ゲーツも自分の創造力を思いっきり発揮した単なる科学者である。未来は新たな世代をリードする創造的な科学者を算出した他の経済、つまり新たな経済によって富が創出されるということを知るべきだ。

人生を大きな枠組みの中からとらえた時、わたしたちや子どもたちがあまりにも物質万能主義に浸って生きているのではないか、という懸念を消すことができない。

教育現場で多くの子どもたちが科学者としての夢を育てられる環境作りが一日も早く造成されるよう、多くの努力と関心が傾けられることを期待する。

李相千(イ・サンチョン)慶南(キョンナム)大学科学英才教育センター所長