日本政府は韓国や朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)など日本国外に居住している原爆被害者を支援するため、新たな基金を創設する方針だと11日、日本の各マスコミが報じた。
厚生労働省は5億円の基金を盛り込み、早ければ来年から海外居住被爆者に基金を支給するか、治療のため渡日する際の費用などで使用する計画だ。
1945年、日本の広島と長崎に投下された原爆被害を受けた韓国人約2200人、北朝鮮人約900人など合わせて4400〜5000人余りに支給されるとみられる。
主に日本人である日本居住の被爆者には「被爆者援護法」に沿って無料治療と月額3万4000円の健康管理手当を支給しているが、海外居住被爆者はその対象から除かれてきた。日本政府の今回の措置は韓国人被爆者の絶えまない法廷闘争と道徳的かつ倫理的な立場から、これ以上この問題を背けることが難しいと判断されたとみられる。
なかでも韓国人の法的闘争が功を奏した。戦後、今年10月までに韓国人が取り上げた「補償訴訟」は34件だ。このうち、最初の訴訟は72年3月に被爆者の孫振斗(ソン・ジンドゥ)さんが「韓国人にも被爆者手当を支給せよ」と訴訟し一審で勝訴した。
98年まで日本で健康管理手当を受けていたが、韓国に帰国したため手当が切れた郭貴勳(クァク・グィフン)さんも勝訴した。韓国人の補償訴訟のうち、一審で勝訴したのが3件(1件は最高裁判所で敗訴)にとどまることから、この2件の勝訴は重要な意味を持つ。
しかし日本が「被爆者援護法」を適用せず、新たな基金を創設することにしたのは「外国人にこの法を適用できない」というこれまでの立場を維持する半面、国際的な批判をかわすための便法とみられる。
金鍾大(キム・ゾンデ)太平洋戦争犠牲者遺族会長も「日本の被爆者と同じ補償を受けなければならないという基本原則には遠い」と指摘した。韓国原爆被害者協会(李鎬景会長)関係者も「海外居住被爆者にありのまま補償するには、少なくとも100億円以上が必要だ」とし、「5億円の基金はその一歩にすぎない」と述べた。
Shim Kyu-Sun ksshim@donga.com






