主要全国紙の社主らに対して逮捕令状が請求されるという史上例のない事態を遡ると、金大中(キム・デジュン)大統領の年頭記者会見の発言に辿り着く。
金大統領は1月11日に「マスコミ改革への国民世論が高まっているだけに、マスコミ、学界、市民団体、国会が一致協力して透明かつ公正なマスコミ改革の対策を立てるべきだ」と述べた。
この意味深長な発言は、まさに批判的な論調の主要全国紙を狙ったものであることが明らかになった。このことは、これまでの二通りの事態の進展過程から立証される。
第一に、今の政府の攻撃の的になっている政府に批判的な主要新聞社を罵倒し、先頭に立ってそれら各社の社主を非難するいわゆる「紅衛兵」が、まさに年頭会見でいち早く示されていた。まさにマスコミの一部メディアや市民団体、学界の一部が、いわゆるマスコミ改革の旗を一斉に掲げることを予告していた。
第二に、金大統領の発言以後、その後の措置として、国税庁による税務調査と公正取引委員会(公取委)による調査が始まった。国税庁と公取委は表向きには「大統領発言と関係がない」とし、それぞれ独自的に「法と原則」に則って定例調査に乗り出したと説明してきた。しかし率直に言って、国税庁や公正委内部の関係者はもとより、国民や世界のマスコミ団体が、その説明を信じるであろうか。これまでの各種世論調査と識者、社会のリーダーらの声明も、政府によるマスコミへの弾圧だと指摘してきた。
周知のシナリオ通り、検察庁は新聞社主ら5人に対して逮捕令状を請求した。批判論調のマスコミを「守旧既得権」勢力、脱税罪、破廉恥罪の容疑で、その社主を拘束するということが、まさにマスコミ改革の下絵であったことが明らかになったのだ。
政府による言論弾圧は、これで終わったわけではない。野党からもすでに「途方もない規模の追徴金を課して、新聞社主が持ち株を売却して納めるように誘導し、持ち株を手放すことで社主が変わるようにするなど、金融面で圧迫をかけてマスコミを隷属化させるつもりだ」という声明を出している。
実に背筋が寒くなるような状況が迫っている。言論が政府の顔色をうかがい、息を潜めるような状況で、いかなる民主主義が存在し得るであろうか。言論の本分は批判機能であり、これを基にした言論と権力間の「健全な」緊張関係こそ、自由民主主義社会の要だ。権力の性質上、その欲望を常に実定法と原則で包み隠して、報復や弾圧を行なってきたことを知らない者はいない。今行なわれている各種のマスコミ弾圧を我々ははっきりと記憶に留めておく決意だ。





