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[オピニオン]政府のAI育成策が、かえってAIを壊す

[オピニオン]政府のAI育成策が、かえってAIを壊す

Posted January. 20, 2026 09:47,   

Updated January. 20, 2026 09:47


人工知能(AI)の学習用著作物をめぐり、政府が提示した「先使用・後補償」という枠組みが波紋を広げている。AI産業の発展を理由に、企業が学習データを容易に利用できるよう著作物関連規制を緩和しようとする政府に対し、著作権者団体は「創作者の犠牲を前提とした政策だ」と強く反発している。

政府案の柱は、AI開発事業者が学習に必要なデータを先に使用してモデルを構築し、その後に得た収益の一部を著作権者に補償するというものだ。しかし、開発側が何を、どの程度学習データとして用いたのかすら開示しない現状では、交渉の主導権は圧倒的に開発事業者側にある。こうした非対称な構造の中で、著作物が果たして正当な対価を得られるのかという疑念は拭えない。

技術主導こそ重要だとする立場からは、学習データ補償をめぐる著作権者の懸念を「既得権益の防衛」と切り捨てる声もある。しかしこれは単なる分配の問題ではない。AIは学習データによって性能を高めていく以上、そのデータを生み出す著作権者の生態系が衰退すれば、やがてデータ枯渇に直面し、AIの性能そのものが低下するのは避けられない。

学習データ不足の問題は、すでに現実味を帯びている。非営利のAI研究機関エポックAIが2024年に公表した研究によると、高品質な言語データは2~5年以内に枯渇する可能性があるという。2030年には、AI学習に用いられる高品質言語データがほぼ尽きている恐れが高い。

不足する学習データを補うため、AI開発企業は合成データ、すなわちAIが生成した回答を再び学習に用いる手法を模索している。だが、こうした自己生成データの反復学習は、「モデル崩壊(Model Collapse)」を招く。

モデル崩壊とは、AIが自ら生み出したデータを学習し続けることで、生成結果の多様性が失われ、出力が単一の方向に収束していく現象を指す。AIが生成した合成データを繰り返し学習させると、その中に内在する偏りや一般化の傾向が学習のたびに増幅されるため、モデルが導き出す結果はAIにとって慣れ親しんだパターンに偏り、人間が生きる現実世界から乖離していくことになる。

こうしたAIは、意思決定に活用する企業に甚大な損失をもたらすだけでなく、社会に存在する偏見をさらに強化しかねない。最終的には消費者から選ばれず、モデル自体が無用の長物となるだろう。

AI研究者の多くは、実際に人間が生み出すデータを学習に含めることが不可欠だと指摘する。機械では合成しきれない、多様で新しい出来事や状況、言語こそが人間データの本質だからだ。

その高品質な人間データを継続的に生み出している主体が、創作者である。著作権者の生態系を衰弱させる政策は、結局のところ、韓国が掲げるソブリンAI構想を自ら壊す自己矛盾にほかならない。短期的な産業育成の名の下に、長期的なAI生態系の基盤を破壊しているのだ。著作権者とAI企業が共存できる仕組みを構築することこそ、持続可能なAI開発に不可欠である。