金大中(キム・デジュン)大統領が、15日の光復節(日本植民地支配からの独立記念日)記念演説で、野党ハンナラ党の李会昌(イ・フェチャン)総裁にトップ会談の開催を提案したが、原則的にそれ自体を反対する理由はないと思う。現在、韓国社会はいつにも増して対立と葛藤が深刻な状態だ。与野党が党首会談を開いてでも、本来の役割を果たせる道を探らねばならない。
事実、韓国社会には、理念、地域、感情などあらゆる面で対立があり、極度に混乱した状態だ。このような現状を見かねて2日、社会各界の長老や市民団体の代表ら32人が、マスコミ各社の税務調査などでもたらされた社会の混乱を憂慮する声明文を発表し、14日には各界のリーダー115人が難局打開を訴える声明文を出した。
しかし、金大統領の15日の記念演説には、そのような各界各層の憂慮の声を反映した形跡が全く見られなかった。むしろ、そのような指摘は聞く耳を持たないといったような印象さえ与えた。金大統領は、現在の危機をどのように考え、どのように解決するのかという具体策を示さなかった。与党民主党内部から政府与党首脳部への刷新策が反映されていないと指摘されたことからも、金大統領の時局観が確かに現実と懸け離れていることが窺える。
金大統領の時局観がこの程度なら、今すぐ与野党のトップ会談を開くと言っても、生産的な結果を生めるだろうか、と危惧せずにはいられない。金大統領は「まず、経済と民族問題だけでも、互いに合意して解決していこう」と述べ、李総裁にトップ会談の開催を提案した。しかし、ハンナラ党側は、金大統領の15日の記念演説が、現在の国家危機と国論分裂の克服に向けた対策を提示するどころか、むしろ安逸な時局観だけをさらけ出したと批判している。
金大統領と李総裁が、今年1月の会談のように、声を荒立てるだけで合意事項の一つも見出せないのなら、いっそ会わない方がましだ。当時の二人は、互いに憤慨して何の成果もあげずに別れた。時局問題の原因とその解決策をめぐる見解が全く異なっていたからだ。いまだに与野党は対立状態にあり、こんな状況で党首会談を開けば、与野党の関係はさらにこじれて国民に失望を抱かせるだろう。過去の党首会談を見れば、互いに合意した事項も守れない場合が多かった。
何より昨日の記念演説に現れた金大統領の時局認識が変わらない限り、与野党党首会談を開き、骨を折って合意事項を作り出したとしても、結果的には国民の政治不信を生むだけだ。党首会談を開く前に、今の韓国社会に差し迫っている深刻かつ根源的な問題を解決するという新しい認識が必要だ。






