チャン・ギルス君一家のソウル行きは南北関係と中朝関係に相当な波紋を投げかけたが、悪影響は与えないものと見られる。
朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)は先月29日、「この事件は、綿密に計算された不純な政治目的を追求する陰謀の性格が強い」と不快感を表明したが、「北南の和解を願わない南朝鮮(韓国)の不純な勢力と情報要員らの卑劣な策動」だとし、非難の焦点を限定した。
この事件を韓国当局の責任と分離して非難したことから、南北関係に影響を及ぼさないとの意思を示したものと解析される。
このような解釈の背景は、△外務省スポークスマンが記者の質問に答える形式を取ったこと△北側の反応が対外および対南向けの朝鮮中央通信と平陽(ピョンヤン)放送を通じて報じられたこと△既存の北朝鮮脱出者の事件について北側が使用した「犯罪者」「人間ごみ」などの極端的な表現を取らない半面、国連難民高等弁務官事務室(UNHCR)を集中的に非難していること、などが挙げられる。
政府当局者は、「韓国政府がこの事件について直接関与したことはなく、中国政府とUNHCRが協議して解決した点を北朝鮮も理解している」と断言した。また、2日には現代(ヒョウンデ)グループ側が政府の南北協力基金の支援を受けて未払いの観光事業代金2200万ドル(約290億ウォン)を送金する予定にあり、南北対話が再開することを期待する雰囲気が造成されている。
しかし、一部では北側が「北朝鮮脱出者らの最終目的地がどこなのかを注視する」と述べた点を上げ、南北関係の進捗状況によってはこの問題が、悪影響を及ぼす可能性もあると憂慮している。
一方、中国政府がこれまでの脱北者の処理原則とは異なり、ギルス君一家を「第3国への追放」の形でソウルに送ったが、中朝関係にも大きな影響はない、との分析も出ている。北側はギルス君一家が先月29日、中国を離れるまでこの問題について触れておらず、第3国に到着した後に外務省スポークスマンの記者会見を開くなど、両国が相互緊密に話し合ったような形跡が伺える。
ソウルの外交筋は「北朝鮮と中国が事件を巡る処理過程で充分に話し合ったと聴いた」とし、「両国が相互の立場を配慮した感じが濃い」と述べた。
一方、今回の事件を契機に北朝鮮と中国は、中国内に滞在している北朝鮮脱出者を厳しく取り締まっていくものと見られる。
同筋は「今回の事態をきっかけに中国が北朝鮮脱出者問題と関連して、中国内で活動している非政府機構(NGO)や宗教団体などに対して相当な警戒心を持つようになった」とし、「脱北者がますます窮地に追い込まれることになり、これは韓中関係にも摩擦を生じさせる原因となる可能性もある」と述べた。
金影植 spear@donga.com





