エストラダ前大統領の拘束・収監を引金に触発されたデモが激化し、フィリピン政局が内戦同様の状況に陥っている。
エストラダ前大統領を支持するデモ隊は1日未明、大統領府のマラカニアン宮殿前への侵入を図ったが、これを阻止する警察と衝突し流血事態となった。デモ隊に対して自制力を発揮していた政府は、この日、マニラ首都圏に「暴動宣言」と発令、デモ隊の解散命令を出した。
一方、一部の将軍と政治家らがエストラダ支持勢力と組んで政権転覆を図っている、とのうわさも間断なく流れている。
1日未明のマニラ市内は一面黒い煙に覆われた。火炎瓶やナイフ、私製銃などで構えたデモ隊が商店や車に防火し、市内の建物の窓ガラスや信号灯を取り壊すなど、街じゅうは一時無政府状態を彷彿させたと、外信が伝えた。
エストラダの支持者ら2万人余は、この日未明にはアロヨ大統領の退任を要求し、マラカニアン宮殿に向かって行進を始めた。マラカニアン宮殿付近でのデモは、1986年に故マルコス元大統領を追い出した、いわゆる「第1次市民革命」以降、15年ぶりのことだ。
この日午前2時ごろ、マラカニアン宮殿から約10km離れているカソリック聖堂から行進を始めたデモ隊は、4時頃にはマラカニアン宮殿近くまで到着、配備されていた警察隊と対峙した。
警察は催涙弾と威嚇射撃でデモ隊に対する解散作戦に取組んだが、デモ隊はトラックなどを動員し警察のバリケードを突入、マラカニアン宮殿から1km離れた警備哨戒所を破壊した。
警察は、マラカニアン宮殿前にあるメンディオラ橋を最後の防御線と構え、威嚇射撃と催涙弾の発砲、放水銃などを動員して必死で阻止し、辛うじてデモ隊を食い止めることができた。この過程で警察官2人とデモ隊1人が死亡し数十人が負傷したと、AFP通信は伝えた。
これまでは「平和的なデモは容認する」という態度を見せていたアロヨ大統領は、この日の流血衝突後、マニラ首都圏に「暴動宣言」を発令した。暴動宣言が発令されると、警察は暴動鎮圧のためなら、武器を持った人を逮捕令状なしで逮捕できるなど、あらゆる措置を取ることが認められる。
フィリピン政府は、今回の流血事態を「政権転覆の企図を孕んだもの」と見て、その背後勢力としてフアン、ポンセ、エンリレの上院議員3人とベロヤ前警察庁長らに対する逮捕命令を出した。また将軍の1人は、一部の将校を取り込んでクーデターを図った容疑ですでに拘禁されている。
アロヨ大統領は、エストラダ前大統領が健康診断のために入院していた病院に、大統領職への復帰を発表する宣言文草案を残したと主張した。






