
青瓦台(チョンワデ・大統領官邸)経済首席秘書官や財務相を務めた司空壹(サ・コンイル)対外経済通商大使が、93年から執筆してきた経済コラムをまとめ、『世界は待ってくれない』(毎日経済新聞社)というタイトルで出版した。
新自由主義と呼ばれる新しい国際秩序に対応する我々の選択、グローバル化国家の真意、急務とされる新国際金融体制、韓中日3ヶ国の協力方法などについて、専門家の視角で論評している。前職政策担当者として責任を回避せず、理想を追うよりは現実的に最善の道を模索した実務型閣僚の経験と識見を窺い知ることができる。
彼の経済観は、どちらかというと市場中心的だ。文民政府の時から経済大統領を主張し、隠遁の王国を脱し、外国企業を誘致することを力説した経歴がこのことを物語っている。早くから資本と技術流入を容易にする方法や制度の改革、国際規範に合った体系的な監査と会計基準の設定、政治論理に惑わされない金融企業のリストラも主張してきた。
彼は、経済危機の重要な要因として大企業のモラルハザード、痼疾的な失業の原因としては転職のための訓練など、システム的な欠陥から来る問題点を挙げている。「国家の競争力の根元は教育改革にある」とし、人材養成システムの開発を提案したことなどは耳を傾ける価値がある。
尹正勳(ユン・ジョンフン)記者 digana@donga.com






