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[寄稿] 食文化も国際競争力だ

Posted January. 04, 2001 12:14,   

観光産業は、全世界総生産(GWP)の内12%を占める世界最大の産業である。これは、金融通信自動車等いかなる産業よりも比重の大きいものである。観光産業を構成する4大要素である食べ物、ショッピング、アミューズメント、見物の中でも、食べ物は付加価値が約40%と一番高く、大きな外貨収入源となっている。それだけでなく、食べ物は、文化的な波及效果が国境を越えて持続される戦略的要素でもある。

世界で一番有名な食べ物は、フランス料理と中華料理である。しかし、中華料理は、卓越なアジと多様性にもかかわらずフランス料理ほど付加価値が高くない。権威を誇る食べ物の評論書であるミシュランで最高点をとったパリのアンブルアーズ・フレンチレストランでは、最高級のフルコースが一人600ドルである。最上級であるプルミエ・グラン・クリュ・ワインを含めれば値段は無限大になる。しかし、中華料理は、インターナショナル・ヘラルド・トリビューン誌が選んだ中華料理レストランで世界ナンバーワンのホンコン・リージェントホテルのライチンヒンでも一人300ドルを越えない。

この違いは、どこから生じたものか。フランス料理の場合、味覚はもちろんのこと視覚、聴覚、嗅覚、触覚を同時に満足させるデザインに対する費用まで客が払うからである。食べ物の質や味は勿論、レストランの雰囲気、従業員の親切なサービス等が調和をなして五感の極大化を創出する。中華料理は、味覚中心のアプローチで世界の人々の味覚を大衆的に捕らえはしたが、五感を動員して附加価値を高めるには力不足である。

世界の主な都市で韓国レストランを探すのは難しいことではない。しかし、韓国料理は、フランス、日本、中国の食べ物のように独自的な食べ物のジャンルとして認められず、タイ、ベトナム料理等と共に普通のエスニック・フードとして分類される。韓国料理の味は、それなりに素晴らしいものであるが、まだ世界の消費者の五感を満足させることはできないからである。その結果、韓国レストランの食事は一人100ドルを越えない。

韓国料理が一層付加価値のある世界的な食べ物になるためには、味覚は勿論のこと視覚、聴覚、嗅覚、触覚においても調和をなした食べ物が開発されなければならない。普通のレベルのデザインにかかる費用が1ならば、最高水準のデザインに必要な費用は、1.5や2でなく5であったり、10であったりもする。最高水準のデザインを得るために支払われる費用は、ある意味では、浪費や不必要なものであるかのように誤解されるかも知れない。しかし、最高のデザインの製品は、普通の製品の10倍、100倍以上の附加価値を創出出来る。

韓国で世界最高レベルのデザインを持つ製品がいくつかあれば、韓国の国家競争力は世界最高 レベルになれる。そして、最も效果的に韓国の競争力を向上させる製品が食べ物である。2001年は、韓国訪問の年であり、2002年にはワールドカップが韓国で開催される。このような大きなイベントは、文化の世紀となる21世紀の力強い第一歩となり、韓国の新しい食文化を全世界に知らせる絶好のチャンスとなるであろう。