韓国経済を取り巻く内外の事情が不安定だ。底を打った内需を引き上げるだけの要素もなく、唯一苦しい経済を支えていた輸出も半導体価格の急落と米国市場の沈滞によりさらに悪化する見通しだ。
このような状況下にて、東亜(ドンア)建設の退出(市場から処理対象に含まれた企業)と現代(ヒュンダイ)建設の不渡り危機は少なからず衝撃を与えるであろう。このままでは不安心理が広がり、経済危機の回復を益々難しくするのではないか心配だ。
経済を回復させるためには今までの経済政策に対する徹底的な反省から出発しなければならない。98年以降、総選挙と南北問題に気を取られ、企業リストラは事実上中断した状態で、IMF危機を早期克服したというお祭り雰囲気が漂い、社会各層での道徳的な緩み(モラルハザード)がみられた。ワークアウト(企業改善作業)により延命していた東亜建設のような企業は政治界に賄賂を振り撒き、労組は構造調整に抵抗した。
現代建設の処理においても南北問題と関連しているため、政府が言いなりになっている感があった。4回にわたって自力更生計画を提出したが、予定通り行われたものは何もなく、責任者は難局と対面する度に海外に身を隠すという方法で踏ん張ってきた。
このように根本的な企業リストラが引き延ばされ、不良企業は益々悪化し、結局は市場の信頼を失うことになった。大宇(デウ)の処理も機械を逃し、天文学的な公的資金をつぎ込んでも大宇自動車の問題はまだ未解決のままだ。
東亜建設の退出が決定し、政府と債権団が法廷管理もしくは出資転換を通して、現代建設の経営権を奪う可能性があるという意思を示すと、辛うじて市場が肯定的な反応を見せたというのは注目すべき点だ。31日と1日、株価が上がり、外国人の買い雰囲気が増えたことは企業リストラの方向がどこへ向かうべきかを物語る。私財の出現など、画期的な態度の変化がない限り、どんな企業においても原則が破られてはいけない。
不良企業を原則的に退出させたら、失業者の増加、資金市場の梗塞、協力企業の連鎖倒産など、短期的な副作用は懸念されるが、長期的にみると、利益もなく借金ばかり増えていく企業を省くことが経済全体を回復させる道である。
大宇、韓宝(ハンボ)、現代建設、東亜建設、双竜(サンヨン)の5大企業の処理は世界が見守っている。政府が今度こそ原則に従って、企業リストラを行わなければ市場の信頼を回復することはできない。債権銀行協議会も3日、退出対象企業の発表を控え、いろいろ苦心もあろうが、不良企業の処理を厳重に行ってこそ2度目の経済危機を免れる道が開けるということを肝に命じるべきだ。






