韓国の金融市場をおよそ20日間もアノミー状態に追い込んだ現代(ヒュンダイ)問題が一段落した。
今回の政府と現代グループ間の合意案は、政府・債権銀行団がこれまでの経営陣退陣の要求を撤回する見返りとして実利を選択した一方、現代グループは社運を掛けて抵抗していた経営陣の退陣を受け入れないことにより名分を得たという形で合意にこぎ着けたものとみられている。
▽収拾案の意味
この発表案の最も大きな意味は、自動車部門の系列会社の分離によって、今年3月、オーナー一家の鄭夢九(ジョン・モング)・鄭夢憲(ジョン・モンホン)兄弟の経営権をめぐる争いが一段落したことでる。3月から表面化した兄弟の争いは、現代グループから内外の投資家を遠ざける結果をもたらし、現代グループの信用を喪失させた。
しかし今回の合意によって、兄弟の葛藤が系列各社に広まる可能性も遮断され、創業者の鄭周永(ジョン・ジュヨン)前名誉会長の持ち株が整理されることとなり、経営権をめぐるこれ以上の争いの可能性はないものとみられる。
現代重工業も現代グループから近く分離される予定で、1社の系列会社の経営危機がグループ全体の経営を危ぶませる現代グループ特有の問題も相当緩和されるものとみられる。
金融市場に直接の悪影響を及ぼした現代建設の流動性問題も、現代建設が負債のうち1兆5,000億ウォンを縮小させ、リストラを断行することで、金融市場の安定が図られるものとみられる。
現代建設の流動性問題は、系列各社の信用度を下落させ、金融市場全体を麻痺させた。金融市場の低迷は、現代グループとは関係のない中堅企業の資金繰りまでも悪化させる結果となった。
現代建設の大がかりなリストラが実現する場合、金融市場も安定を取り戻し、株式市場の活性化をもたらすことで資金市場も息を吹き返し、企業の資金繰りも安定するものとみられる。
▽残った課題
今回の合意によって、金融市場においての現代グループの悪夢が一掃したとみる関係者はいない。今後も現代グループを危機にさらし得る地雷は至るところに残っている。先ずは現代建設が独自に生き残れることができるかどうかである。建設業界では、建設業全体が不況に陥っている上、放漫な経営と過剰な社員の数に悩まされている現代グループが生き残りを図るには、大がかりなリストラを断行しなければならないと指摘している。また、現代投資信託の経営が更に悪化し、あるいは多額の負債を抱えている現代電子が半導体の好況の終演とともに再び経営が悪化する場合にも、現代グループ全体の危機は再来する恐れがある。
北朝鮮に対する事業も今後の変数の一つ。現代グループは、10兆ウォン以上が必要とされる対北事業をめぐる外資の誘致やコンソーシアムの構成を計画している。しかし、この計画が順調に進まず、内外の投資家が関心を示さない場合、既に対北事業に5,000億ウォンを投じている現代グループ全体に大きな影響を与えることになる。
鄭周永前名誉会長の健康も重要な変数の一つ。
鄭名誉会長が健康の悪化によって統制力を失い、後継者同志の争いが再発し、企業の経営よりもオーナー一家に忠誠を誓う経営陣が残り続ける場合、投資家が現代グループから離れていくことは火を見るより明らかである。現代グループは、既に崩壊した大宇(デウ)グループの二の舞を踏む可能性もあるのだ。






