太平洋の美しい島国ツバルは、今この瞬間も少しずつ海水に沈んでいる。8つの島のうち2島はすでに沈んでいる。満潮時は、激しい波が民家の裏庭に押し寄せ、国民はオーストラリアやニュージーランドに集団移民を申請している状態だ。ツバルは地球温暖化で海水面が上昇すれば、国土がなくなる危機にさらされた島嶼国家連合(AOSIS=Alliance of small island states)加盟国だ。ツバルのような島国は気候変化の最大の被害国だ。
◆世界的金融グループであるモルガン・スタンレーが最近の報告書で、気候変化が今後、世界経済を主導する最も大きな要因だと分析した。気候変化は資本や生産性に影響を及ぼし、グローバル経済を弱体化させるが、国の対応能力によっては好材料となりかねないというわけだ。フランスや日本、ドイツ、スペイン、イタリアが跳躍の好機を迎えるグループだ。国土の緯度が高く、気候変化の影響を相対的に受けにくい一方、早い段階から温室効果ガスを削減する方向で、経済体制を立て直した国々だ。
◆ウクライナやロシア、サウジアラビア、イランのような産油国では、経済に打撃を受けるものと展望される。豊富な石油やガスで、オイルマネーがあふれるが、石油資源の輸出に依存する単一経済構造では、もっとも先に影響を受けざるをえない。同じ資源大国でありながら、ブラジルは状況が違う。バイオ燃料分野で大きな潜在力を持っており、新しい発展の可能性を示している。ブラジルでは代替エネルギーのエタノール市場を先取りして、米国からラブコールを受けている。
◆韓国は産油国でも、島国でもない。にもかかわらず、米国やオーストラリア、ポーランドとともに気候変化にもっとも弱いグループに分類された。このグループは、気候変化や温室効果ガスの削減にもっとも大きな影響を受ける。気候変化は燃料保護主義(Fuel Protectionism)を招き、グローバル・スタグフレーションの圧力を増加させるが、韓国のようなイマージング・マーケットは最も脆弱だ。かといって希望がないわけではない。韓国は気候変化への適応力が優れた国としても評価されている。気候変化の弱小国に転落するか、それとも、超大国に跳躍するかは、われわれにかかっている。
鄭星姫(チョン・ソンヒ)論説委員 shchung@donga.com