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[オピニオン]ソウル図書館

Posted November. 27, 2012 08:33,   

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現存する世界最大規模の図書館は、ワシントン議会の図書館だ。本棚の長さが1046キロ、蔵書は1億4200万冊、司書は4000人もいる。勇壮な建物や金色で輝く内装は、図書館というより、宮殿を思わせる。韓国の国会図書館の蔵書は460万冊であり、米議会図書館の膨大な規模を推し量ることができる。韓国の国会図書館や国立中央図書館は、デジタル環境では先端を走っている。しかし、公共交通を利用したアクセス性が落ちるのが問題だ。

◆地球温暖化による大災害を扱った映画「デイ・アフター・トゥモロー」で、主人公の大学生らが、自由の女神を飲み込んだ津波を避けて逃げたところが、ほかならぬマンハッタン42番街のニューヨーク公立図書館だ。電気もガスも止まった図書館で、学生らは本棚を埋め尽くした本を燃やしながら寒さに耐える。彼らは法典を容赦なく燃やし薪として使うが、ニーチェやグーテンベルクの聖書だけは、なかなか燃やすことができない。図書館は、自然の警告を無視した人間の知性を象徴するメタファーとして使われている。

◆米国でも、市民に親しまれている図書館は議会図書館ではなく、都市ごと、町ごとにある公共図書館だ。プロ野球の試合が行われるたびに、ニューヨーク公立図書館前の獅子像には、市民らが野球チームの帽子をかぶせていく。図書館の中央ホールは、結婚式場として貸し出される。映画「セックス・アンド・ザ・シティ」の主人公・キャリーが恋人と挙式をしようとしたところだ。住民らはエコバッグをそばに置き、本を読んだりビデオを見たりする。この図書館が、ニューヨーク市が提供する公共サービスのうち、10年以上トップについている。最近、韓国にも市立図書館や区立図書館が至るところに建設されている。幼児や子供室まで備えており、主婦らから親しまれている。図書館では、文化芸術家を招いての文化講座も活発に開かれている。これこそ、地方自治のあるべき姿だろう。

◆26日で開館1ヵ月を迎えたソウル図書館が、市民から人気を集めている。お昼を利用して本を読みに来た会社員はもとより、週末や午後は、子供をつれてきた家族連れでにぎわっている。不足がちな蔵書や手狭な閲覧室、騒音が問題だが、そのほかは非のうちところがない。ソウル図書館は、吳世勳(オ・セフン)前ソウル市長が構想し、朴元淳(パク・ウォンスン)市長がオープンさせた。旧ソウル市役所に、市民が気軽に出入りできる図書館が作られたのもほほえましいことだ。前職と現職の市長が共に完成させたプロジェクトであり、なおさら喜ばしい。ソウル図書館が、ニューヨーク公立図書館に劣らぬソウルの人気者として定着することを願う。

鄭星姫(チョン・ソンヒ)論説委員 shchung@donga.com