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安重根・尹東柱の遺跡を閉鎖した中国、恥ずかしくないのか

安重根・尹東柱の遺跡を閉鎖した中国、恥ずかしくないのか

Posted August. 07, 2023 08:20,   

Updated August. 07, 2023 08:20

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中国共産党は、宣伝扇動に強く、特定の議題に対する世論を形成する行為にも長けている。最近、中国内の韓国独立闘士の遺跡を相次いで閉鎖した中国の行動が偶然でないかもしれない理由だ。

当局は、北東部の遼寧省大連にある旅順監獄博物館内の「安重根(アン・ジュングン)展示室」を閉鎖した。近くの吉林省延辺朝鮮族自治州龍井市にある「尹東柱(ユン・ドンジュ)の生家」も観覧を禁止した。「安重根展示室」は今年4月、「尹東柱の生家」は先月閉鎖されたとみられる。偶然にも、いずれも「内部修理」が理由だ。

日本の植民地支配期、伊藤博文を射殺した安重根義士。また、「序詩」「星を数える夜」など数々の名詩を残した詩人の尹東柱。「銃」と「ペン」で韓民族の亡国の痛みを癒した2人は、韓国人に特別な感情を抱かせる。

大連を訪れる韓国人観光客には、「安重根展示室」が必須の観覧コースだ。展示室内の安義士の胸像の下には、いつも韓国人が置いた菊の花がいっぱいだ。安義士が旅順監獄で獄死してから113年が経ったが、その精神を追悼し、継承しようとする動きは続いている。映画、ミュージカル、小説など、安義士を題材にした様々なコンテンツが今も絶えない理由だ。

「尹東柱の生家」も近くの白頭山を観光する韓国人が必ず訪れる場所だ。彼の作品のほとんどが詩碑で建てられている。特に「死ぬ日まで天を仰ぎ一点の恥なきことを」というフレーズが入った「序詩」の詩碑の前では、すべての韓国人が心を揺り動かされる。しかし、中国人はほとんど訪れない。多くの中国人は尹東柱を知らない。

中国はなぜ「安重根展示室」と「尹東柱の生家」を閉鎖したのだろうか。専門家の間では、韓中の軋轢が大きくなり、中国の地方政府が中央に忖度した結果という見方が支配的だ。

4月、中国外務省の毛寧報道官は、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領に対し、事実上の暴言に近い「不容置喙(口出しさせない)」という表現を使い、外交的非礼という批判を受けた。2ヵ月後、邢海明・駐韓中国大使は、「中国の敗北に賭けてはいけない」という恫喝的な発言までした。中央政府のこのような基調に応えるため、地方政府も韓国関連の遺跡をぞんざいに扱っているということだ。特に、経済的に後進の東北3省(遼寧省、吉林省、黒竜江省)はなおさら中央政府の顔色をうかがうしかない。

今回の事態を「限韓令(韓流制限令)」と似た文脈で見る見方もある。今も中国の中央政府は「限韓令はない」という立場を堅持している。つまり、韓国遺跡の扱いも地方政府と関連団体が中央政府の意向に逆らわないよう勝手に動いているということだ。中央政府は「知らんふり」をすればいいのだ。

「安重根展示室」及び「尹東柱の生家」閉鎖関連記事のコメントには、尹政権を批判する内容が少なくない。現政権の反中政策が今回の事態につながったということだ。中国が韓国内の反政府世論を巧みに作り上げたのではないかという疑念を拭えない。中国はいつものように「我関せず」で一貫するだろう。

韓中は抗日運動の歴史を共有できる。日帝の侵略という痛みを共に経験したからだ。安重根と尹東柱の抗日精神も共に継承することができる。「内部修理のため」という中国の言い訳が「天を仰ぎ一点の恥なきこと」を願うばかりだ。