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本当の友

Posted January. 26, 2023 08:31,   

Updated January. 26, 2023 08:31

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青い服を着た郵便配達の男が正面を見つめている。頬ひげと二つに分かれた顎ひげが印象的だ。緑色の背景には花が描かれている。絵の中の男の名前はジョゼフ・ルーラン。アルル時代、ゴッホに手紙を配達した郵便配達人だ。ゴッホは、ルーランの肖像画をなんと6点も描いた。なぜルーランはゴッホの絵の中の主人公になったのだろうか。

ゴッホが画家コミュニティを夢見て南フランスのアルルに到着したのは1888年2月。ルーランはアルルの駅で働く郵便配達人だった。ゴッホは、オランダにいる弟テオに絵や手紙を送るためにしばしば郵便局に行き、ルーランと親しくなった。ルーランは熱烈な社会主義者で、家族に献身する47歳の平凡な家長だった。ルーランは、モデルに払うお金がなかった貧しい友人画家のために喜んでモデルになった。

88年8月から翌年4月まで、ゴッホはルーランの肖像画6点を描いた。そのうち3点は背景に花があるが、この絵が最後のバージョンだ。素早いタッチで描いた人物とは異なり、ポピー、トウモロコシの花、デイジーなどが細かく描かれている。

37年間の短い人生を送ったゴッホは、アルルで最も幸せな時間を過ごし、傑作も多く残した。しかし、ゴーギャンと喧嘩した後、自分の耳を切り、精神病院に入院した。友人のゴーギャンは去ったが、ルーランは病院にいるゴッホを慰め、世話をした。

ゴッホは肖像画を描く時、写真のようにリアルな描写ではなく、想像と記憶、強烈な色彩を通じて人物の性格を表現することが重要だと信じた。この絵も、ルーランがより良い仕事を求めてマルセイユに行った後、記憶に頼って描かれた。

最も苦しい時にそばで慰めてくれるのが真の友だ。背景に描かれた赤いポピーは、慰めや感謝という花言葉を持っている。ゴッホにとってアルルの郵便配達人は、6回ではなく60回描いても覚えていたいこの世の有難い友人ではなかっただろうか。