最近、国立バレエ団の団員らが次期団長の任命を前に「公正な人事」を求める声明を発表した。団員らは6日、それぞれのSNSに声明文を掲載し、「国立バレエ団は大韓民国を代表する芸術団体であり、韓国バレエの基準だ」とし、「次期団長兼芸術監督の選任に当たっては、プロバレエ団の運営に対する深い理解と芸術的専門性を最優先の基準としてほしい」と訴えた。任命が発表される前に国立芸術団体の団員らが一斉に声明を出すのは異例のことだ。
団員らが切迫した動きを見せたのには理由がある。4月に姜秀珍(カン・スジン)団長が退任して以降、国立バレエ団トップの座は空席となっている。ところが最近、公演業界ではプロバレエ団での経験が全くない高齢の舞踊学科の教授が、「李在明(イ・ジェミョン)大統領陣営出身」という経歴を背景に次期団長に内定したとのうわさが広がり、懸念が高まった。
団員らの集団反発によって論議が広がると、崔輝永(チェ・フィヨン)文化体育観光相はSNSを通じて、「候補リストに最初からそのような人物はいなかった」と火消しに乗り出した。「#事実無根」「#あきれて言葉もない」とのハッシュタグも添えた。しかし今回の事態を単に「ばかげている」と片付けるには、これまで積み重なってきた文化体育観光部の芸術機関長人事に対する不信感は小さくない。
長期間空席だった国立芸術団体のトップ人事は次々と埋まりつつあるが、連日のように縁故・論功行賞人事との批判にさらされてきた。2月には俳優の張東稷(チャン・ドンジク)氏が国立貞洞(チョンドン)劇場理事長に任命されたのに続き、4月にはフードコラムニストの黄橋益(ファン・ギョイク)氏が韓国文化観光研究院長、お笑い芸人の徐承満(ソ・スンマン)氏が国立貞洞劇場代表に任命された。芸術分野での専門性よりも、李氏との関係が重視された「コード人事」との批判が文化界の内外で強かった。文化連帯など65の文化芸術団体と約700人の文化関係者は、任命撤回と専門性重視の人事原則の確立を求めて反発した。しかし、すでに行われた任命を覆すことはできなかった。この一連の過程を目の当たりにした国立バレエ団の団員らにとって、「まさか」との懸念が現実になる前にできる唯一の手段が「先制的な反発」だったのだろう。
政権が変わるたびに繰り返される公共機関の「縁故人事」論議は今に始まった話ではない。しかし、文化団体トップの人事は、文化を政治の戦利品程度にしか見ていない後進的な認識を露骨に示している。韓国文化芸術の水準と方向性を示すべきポストを非専門家が占めれば、その被害は特定団体にとどまらず、芸術生態系全体の競争力低下につながるほかない。にもかかわらず、こうした重要ポストが選任基準も検証過程も不透明なまま、現場の芸術家たちが反発する「ブラックボックス人事」で埋められている。
最近、文化体育観光部は政権発足1周年を迎え「Kカルチャー400兆ウォン時代」など文化強国実現の青写真を打ち出した。しかし文化の力は、強固な基礎芸術の生態系から生まれる。芸術団体のトップは、その生態系の最前線で芸術的ビジョンと競争力を牽引する存在だ。今からでも客観的に納得できる人事基準と透明な検証プロセスを整備しなければならない。「政治の力で芸術を揺さぶるな」という芸術家たちの訴えをこれ以上無視するようなことがあってはならない。
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