
三星(サムスン)電子の労使が暫定合意した賃金交渉案が、組合員投票で可決された。これにより、史上初の半導体ゼネスト危機へ突き進んでいた労使対立は、ひとまず収束した。今後は、半導体覇権競争の真っただ中で、圧倒的技術の優位を維持するため改めて気を引き締めなければならない。最悪の事態を回避したのは幸いだ。しかし、超高額成果給論争が韓国社会の各所に残した対立と相対的剥奪感は、なお解決すべき重い課題として残っている。
27日、三星電子労組共同交渉団は、暫定合意案の投票の結果、賛成73.7%で可決されたと発表した。ただ、投票結果を詳しく見ると、内部対立の火種は依然として残っている。交渉を主導した超企業労組では81%が賛成した一方、非半導体中心の労組では賛成は21%にとどまった。これに先立ち、李在鎔(イ・ジェヨン)三星電子会長は「われわれは一つの体、一つの家族だ」と語ったが、今後どのように真の統合を実現するかが急務となった。
SKハイニックスが火を付け、三星電子労組が拡大させた「営業利益N%成果給」論争は、韓国社会の二極化問題を赤裸々に浮き彫りにし、その格差をさらに広げた。天文学的利益を上げる半導体大企業の労働者と、生存を心配する中小企業や下請け業者の労働者との間の隔たりは、言葉にできないほど大きくなった。成果給を含めた三星電子半導体社員の平均年俸は、500大企業社員平均の7倍、全常用労働者平均の14倍に達する。26日の最低賃金委員会会議でも話題になったほど、超高額成果給は賃金格差と二極化を象徴する事例となった。
労組主導のいわゆる「MZ世代式の公正」が本当に適切なのかという疑問も残した。貢献した分だけ正当に報われるべきだという要求自体は当然だ。しかし、その公正が「自分の取り分の最大化」にのみ埋没するなら問題だ。利益への貢献度を正確に評価せず、半導体好況という外部要因までも、すべて自分たちの成果だと主張するのは合理的ではない。真の公正は、内と外の格差に目を向け、共に成長しようとする成熟した連帯意識に支えられてこそ、初めて社会的正当性を得ることができる。
世界4位を視野に入れる輸出好調、8000台を突破したコスピ(総合株価指数)など華やかな数字の裏には、資産と所得の二極化という暗い影が横たわっている。住宅価格高騰による不動産格差に加え、株価上昇の恩恵を受けた者とそうでない者、好調企業に属する者とそうでない者との断絶も深まっている。「いとこが土地を買えば腹が痛む(他人の成功をねたむ)」という単純な嫉妬だけで片付けられる問題ではない。汗を流した努力が裏切られたという感覚、もはや追いつけないという不安と絶望が積み重なり、深刻な社会的亀裂の導火線となるまで放置してはならない。






