
全国の刑務所・拘置所など矯正施設の半数で、いわゆる「刑務所医師」である医務官が1人で診療を担っている実態が明らかになった。医務官の平均年齢は62.8歳に達し、人手不足も重なって矯正医療体制の揺らぎが指摘されている。
12日、法務部によると、今年2月時点で全国の矯正施設54カ所のうち27カ所で医務官が1人のみ配置されていた。慶尚北道(キョンサンブクト)第2刑務所、慶尚北道第3刑務所、論山(ノンサン)支所の3カ所には医務官が1人も配置されていなかった。医務官不在の施設では、収容者は遠隔診療などで対応を受けている。
約1270人が収容されている慶尚北道第1刑務所でも医務官1人が単独勤務するなど、医務官の負担は増している。医務官の1日平均診療件数は90件で、昨年の経済協力開発機構(OECD)の医師1人当たり平均(24件)の3.8倍に上る。医務官2人が勤務する原州(ウォンジュ)刑務所のチャ・インファン医務書記官は「毎日60~70件を診療し、週単位で24時間の緊急当直にも当たる。苦情や陳情への回答の検討業務まで重なり、睡眠不足や慢性的な疲労に悩まされるなど、日常生活にも支障を来している」と語った。
過重労働の中で医務官の死亡も相次いでいる。全羅南道(チョルラナムド)の矯正施設で勤務していた医務官は1月、脳出血で倒れ2カ月後に死亡した。忠清南道(チュンチョンナムド)で勤務していた医務官も同月、自宅で心停止となり死亡したとされる。
こうした人材難は今後さらに深刻化する可能性がある。矯正当局は毎年、医務官の採用を実施しているものの、応募者が不足しているため、今年時点で定員115人のうち92人(80%)のみが勤務しているのが実情だ。結局、正規職の採用に代わり、高齢の医師が任期制の契約職として勤務する傾向が続いている。任期制契約職には年齢による退任規定がないため、現在の医務官の平均年齢は62・8歳で、最高齢は80歳に達している。
収容者の高齢化も医療需要を押し上げている。65歳以上の収容者は2020年の3071人(5.7%)から昨年は5701人(8.8%)に増加し、疾病が疑われる収容者も同期間に2万9379人から3万6645人に増えた。法務部の関係者は「医務官不足は緊急対応の遅れなど、収容者の健康管理に支障を来す恐れがある」と話した。
高麗(コリョ)大学医学部予防医学科のチョン・ジェフン教授は「長期的には賃上げなど処遇改善が必要だ」とした上で、「地域医師制や公立医学部など公共医療の強化過程で、派遣や研修の形で医務官の人材拡充を図るべきだ」と指摘した。
パク・ギョンミン記者 mean@donga.com






