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「まずは人命だ」網を切って8人救助した船長

「まずは人命だ」網を切って8人救助した船長

Posted April. 01, 2026 09:06,   

Updated April. 01, 2026 09:06


「金が問題ですか。まず人命を救うべきでしょう」

火災が発生した船を救助するため、操業中の網を切って現場へ向かった慶尚南道統営(キョンサンナムド・トンヨン)船籍の第237ヘドク号(24トン)の船長、チャン・ジョンギル(53)氏は31日、こう語った。

チャン氏は先月14日、済州(チェジュ)南西の海上で操業中、近くの船で火災が発生したとの知らせを受け、イシモチなどを捕っていた網を切断し、約3.5キロ移動して救助に向かった。切断した網の価格は1000万ウォンに上る。

警察などによると、火災は同日午前10時ごろ、済州・馬羅島(マラド)南西約83キロの海上で操業中だった済州ハンリム船籍のA号(29トン、乗員10人)で発生した。A号の船長は海洋警察に通報するとともに、周辺船舶に無線で火災発生を知らせた。

無線を聞いたチャン氏は直ちに網を切り、現場へ向かった。重い網を外したことで、わずか15分で到着した。

現場では炎が激しく上がっていた。船を近づければヘドク号も火災の危険にさらされる状況だった。乗組員は「離れて救助しよう」と制止したが、チャン氏は人命被害が拡大しかねないと判断し、ヘドク号をA号に接近させて乗員8人を救助した。チャン氏は「目の前で人命が左右される状況で、ためらうことはできなかった」とし、「船乗り同士、事故に遭えば自分のことのように助け合うという暗黙のルールがある」と語った。

チャン氏の迅速な判断で人的被害は大幅に抑えられた。済州海洋警察は31日、海洋警察庁名義の感謝状を授与した。海洋警察の関係者は「チャン船長は自船を事故船に直接係留して乗員8人を迅速に救助し、その後、行方不明者2人の捜索にも自発的に参加した」と説明した。

事故収拾後、チャン氏は網を切った地点に戻ったが、流失して見つからなかった。チャン氏は「操業損失よりも8人の命を救えたことの方が誇らしい」とし、「行方不明の2人も早く見つかってほしい」と話した。


済州=ソン・ウンボム記者 seb1119@donga.com