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金正恩氏、ICBM新型固体エンジン試験を視察 米本土同時攻撃能力を誇示

金正恩氏、ICBM新型固体エンジン試験を視察 米本土同時攻撃能力を誇示

Posted March. 30, 2026 09:15,   

Updated March. 30, 2026 09:15


北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記が、炭素繊維複合材料を用いた大出力固体エンジンの地上噴出試験を視察したと、朝鮮中央通信が29日報じた。米国・イスラエルとイランの戦争が激化する中、米本土を攻撃できる大陸間弾道ミサイル(ICBM)用新型エンジンを開発したことを電撃的に公開したのだ。韓国軍関係者は「多弾頭ICBMに使用されるより強力なエンジンを誇示することで、『北朝鮮はイランやベネズエラとは違う。我々に手を出すな』という警告を米国に発したものだ」と指摘した。

●より強力なICBMエンジン公開、「イランとは違う」

正恩氏は試験視察の席で「国家の戦略的軍事力を最強の水準に引き上げる上で実に重大な意義を持つこの試験は、戦略武力の現代化に関する国家戦略と軍事的需要条件を十分に満たしている」と述べた。

北朝鮮が公開した新型固体エンジンは、多弾頭ICBM用と韓国軍はみている。昨年10月の朝鮮労働党創建80年軍事パレードで初めて公開されたICBM「火星(ファソン)20」に搭載される可能性が高いという。北朝鮮は新型エンジンの最大推力が2500kN(キロニュートン)だと主張した。昨年9月に地上噴出試験を行った次世代ICBM用固体エンジン(1971kN)より約26%強力で、約250tf(トンフォース・250トンの重さを押し上げる推力)に相当し、これまで公開された中で最大の出力とされる。韓国軍関係者は「推進剤の燃焼面積の拡大などの改良、または高性能推進剤を使用したものと推定される」と述べた。

エンジン出力が高まるほどICBMの射程は延びる。すでに米本土の大半を射程に収める1万5千キロ級のICBMを開発した北朝鮮が、さらに高出力の固体エンジン開発に注力しているのは、多弾頭ICBMの高度化のためとみられる。

北朝鮮が「最強の核戦略兵器体系」と主張する火星20は、3個以上の核弾頭を搭載する「複数個別再突入弾頭(MIRV)」ICBMとして開発していると韓米当局はみている。MIRVは1発のミサイルに複数の弾頭を搭載し、それぞれ別の目標を攻撃できる。1発でワシントンやニューヨークなど主要都市を同時に攻撃できるということだ。また弾頭数が多いほど同時攻撃能力が高まり、デコイ弾で迎撃網の突破も可能となる。実際、最近イランの多弾頭弾道ミサイルの一部が米国とイスラエルの迎撃網を突破し、目標を攻撃したという。

統一研究院の洪珉(ホン・ミン)先任研究委員は「米国のミサイル防衛(MD)体制を無力化し、地球規模の攻撃能力を備えた多弾頭ICBM確保の意志を北朝鮮が示したものだ」とし、「北朝鮮と米国の対話再開の可能性が取り沙汰される中、『イランとは違う』という戦略的地位を再認識させる狙いもあっただろう」と述べた。

●「ロシアの技術支援の可能性」

一部では、北朝鮮が過去にエンジン試験後にICBM発射を行ってきた前例から、火星20の発射試験に向けた手順ではないかとの見方も出ている。北朝鮮は2024年10月31日に火星19を発射して以降、ICBM発射は行っていない。

新型エンジン開発過程でロシアが技術支援した可能性も指摘される。韓国軍関係者は「北朝鮮の新型ICBMエンジン開発にも、ロシアが派兵の見返りとして部品改良やシステム統合などの技術を提供した可能性が高い」と述べた。陳永承(チン・ヨンスン)合同参謀本部議長(空軍大将)は昨年10月、火星20の開発におけるロシアの技術支援の可能性について「十分あり得る」と述べている。

正恩氏はまた、国防科学院装甲武器研究所で行われた新型戦車の能動防護システムの検閲試験も視察した。公開された写真には、新型戦車が対戦車ミサイルとみられる発射体を迎撃する様子が写っていた。さらに、人民軍総参謀部作戦局直属の特殊作戦訓練部隊の訓練状況も点検した。北朝鮮は、正恩氏が女性特殊部隊員を激励した点を強調した。慶南(キョンナム)大学極東問題研究所の林乙出(イム・ウルチュル)教授は「北朝鮮内部で女性軍人の地位強化とともに、男女を問わない全人民抗戦態勢と特殊戦要員の裾野の拡大を意味する」と分析した。