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カタールLNG大手「不可抗力宣言」 エネルギー中長期計画の再構築を

カタールLNG大手「不可抗力宣言」 エネルギー中長期計画の再構築を

Posted March. 26, 2026 09:49,   

Updated March. 26, 2026 09:49


世界の液化天然ガス(LNG)供給の約20%を占めるカタールの国営企業「カタールエナジー」が、韓国や中国、イタリア、ベルギーなど主要輸入国と締結した長期供給契約について「不可抗力宣言(フォースマジュール)」を出したとの海外報道が出た。不可抗力宣言は、戦争や天災などにより契約履行が困難になった場合、賠償などの法的責任を回避するための措置だ。

カタールでは最近、イランのミサイルとドローン攻撃により、北部ラスラファン工業都市のLNG生産設備2カ所とガス液体燃料(GTL)施設1カ所が被害を受けた。この攻撃で輸出能力の約17%が失われたとされる。不可抗力が正式に宣言されれば、LNG引き渡し義務は猶予される。ホルムズ海峡の機能不全と合わせ、供給中断という二重のリスクが現実になる恐れがある。

韓国大統領府はこれについて「正式に決定された事実はない」としつつも、「カタール産の供給支障の可能性を念頭に対応している」と明らかにした。韓国はLNGの約15%をカタールから輸入している。豪州やマレーシア、米国など中東以外の供給国への調達多角化を計画通り進める必要がある。

問題は、原油高で物価上昇圧力が高まる中、カタールの供給停止が他地域のLNG価格を押し上げる連鎖的な価格高騰を招く恐れがある点だ。LNGは国内エネルギー消費の20%、電力生産の28%を占める。LNG価格上昇は発電コストの上昇に直結する。定期整備中の原発10基の再稼働前倒しや石炭火力の閉鎖延期など、緊急対応は避けられない。

暖房や調理など家庭用エネルギーの半分はLNGに依存している。暖房温度を1度下げれば約7%の節減が可能とされる。暖房や給湯の使用を減らすエネルギー節約対策とともに、迅速な追加更正予算の編成により、必要に応じて低所得層や自営業者の都市ガス料金負担を軽減すべきだ。LNGは肥料原料の尿素生産にも用いられるため、価格急騰が肥料や食料価格の上昇につながる可能性にも備えなければならない。

カタールが被害を受けた施設を復旧するには3~5年を要するとの見方もある。供給が全面停止する「カタール・ゼロ」の長期化も想定し、中長期のエネルギー需給対策を緻密に練り直すことが求められる。