
12日午前11時30分ごろ、ソウル市広津区(クァンジング)の店の前。体感温度が氷点下15度まで下がる厳しい寒さの中、路地に沿って30メートルを超える行列ができた。正午から販売される「ドバイもちもちクッキー」を求め、開店と同時に客が押し寄せる「オープンラン」の状態となった。チ・スジンさん(31)は「ソーシャルメディア(SNS)で友人やインフルエンサーが食べている様子が繰り返し流れてきて気になった。手に入りにくいと聞き、開店2時間前から一番で並んだ」と笑った。
SNSを通じて広がったクッキー―の人気が韓国を盛り上げている。カダイフ(トルコ風の細麺)やピスタチオなど材料の輸入は増えているが、需要が供給を上回り、価格は急騰している。SNSに慣れ親しんだZ世代を中心に、流行に乗り遅れまいとする心理が働いたとの分析が出ている。
クッキー―は、2024年に流行したドバイチョコレートから派生し、韓国で生まれたデザート。カダイフにピスタチオクリームを和えたフィリングを溶かしたマシュマロで包み、見た目は餅に似た形をしている。
原材料の輸入量からも人気がうかがえる。12日、関税庁によると、殻付きピスタチオの輸入量は昨年1~11月に1310トンと、前年同期(1113トン)比で約18%増。2024年通年(1203トン)を上回った。食品医薬品安全処によれば、カダイフを含むトルコ産乾麺類の輸入量は2024年の9212トンから昨年は1万1103トンに増加。ココア粉末の輸入量も同期間に1万674トンとなり、2024年(1万427トン)を上回った。
自作需要も加わり、材料価格は上昇基調だ。電子商取引の価格変動を知らせるアプリ「フォールセント」によると、ピスタチオ1キロの価格は先月14日の1万9500ウォンから今月11日に4万9900ウォンへと156%上昇。カダイフ(500グラム)も同期間に1万2700ウォンから1万8900ウォンへと約48%上がった。
話題性の高まりを受け、デザートとは縁遠いクッパ店や韓国料理店、すし店まで集客目的で販売に乗り出した。配達アプリでは「食事注文必須」「1個まで」といった購入条件を設ける店が相次ぐ。
背景には、SNSを基盤とする「ディト(Ditto=私も同じという意味のラテン語)消費」と、不況下でささやかなぜいたくを求める心理が重なったとの見方がある。インフルエンサーや著名人が食べる様子が拡散されることで関心が高まり、入手困難であることが購買意欲を刺激したという。仁荷(インハ)大学消費者学科兼任教授のファン・ジンジュ氏は、「『あなたが買うなら私も』という同調消費が広がっている。景気低迷が長期化する中、ぜいたく品ほどの負担はないものの、デザートとしては比較的高価な商品で『ささやかなぜいたく』を楽しむ動きだ」と指摘している。
ナム・ヘジョン記者 キム・ダヨン記者 namduck2@donga.com






