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米国のマドゥロ政権転覆、国益と力「ドンロー主義」の実体

米国のマドゥロ政権転覆、国益と力「ドンロー主義」の実体

Posted January. 05, 2026 10:42,   

Updated January. 05, 2026 10:42


米国は「確固たる決意」と名付けた深夜の拘束作戦で、13年にわたり政権を維持してきたベネズエラのマドゥロ大統領を電撃的に排除した。トランプ米大統領は、マドゥロ夫妻が拘束され、ニューヨークへ移送される様子を、フロリダ州マール・ア・ラーゴの邸宅で生中継で見届けたという。昨年6月のイラン核施設空爆に続き、軍事力を動員して敵対国の体制そのものを転覆できるという意思と力を、国際社会に誇示した形だ。

中国などは「重大な国際法違反だ」と非難したが、トランプ氏は意に介さなかった。拘束後の記者会見で「マドゥロ夫妻をニューヨークに連行し、裁判を受けさせる」と述べ、作戦の正当性を強調した。米国は2020年、マドゥロ氏を麻薬密売や資金洗浄の容疑で起訴している。同日、麻薬カルテルの首領のように目隠しをされ、グレーのトレーニングウエア姿で移送される映像や、米麻薬取締局(DEA)ニューヨーク支部とみられる施設で手錠をかけられ連行される映像も公開された。

トランプ氏は、麻薬脅威の排除を名分に掲げつつ、「新たな安全保障戦略の下で、西半球における米国の支配力は、もはや疑われることはない」と述べ、本音を隠さなかった。西半球の主が誰であるかを改めて刻印したのだ。さらに「米国が築いたベネズエラの石油産業を社会主義政権が奪い取った」とし、チャベス政権時代のベネズエラ油田の国有化で損害を被った米石油企業の利益を守る姿勢も露骨に示した。中国はベネズエラ最大の債権国だ。

トランプ氏は「モンロー主義を継承し、それをはるかに超えた」とし、「ドンロー主義」という言葉を持ち出した。19世紀のモンロー主義を踏襲しつつ、中国などの影響力を排除する、より攻撃的な米国第一主義を予告したのだ。「コカインを米国に送り込んでいる」「失敗した国家」と述べ、コロンビアやキューバといった中南米の反米政権も次の標的になり得ると警告し、体制転覆への恐怖を拡散させた。

米国では11月に、現職大統領の中間評価となる中間選挙が行われる。物価など国内問題が焦点となるが、今回は外交・安全保障が前面に出ている。トランプ氏は2024年の大統領選で不法移民問題を浮き彫りにし、得票戦略として活用した。世界最大の石油埋蔵量を持つベネズエラと中南米の政情不安は、世界の原油需給や金融市場の変動性を高めかねない。西半球で強まる攻勢的な「ドンロー主義」と米中対立の拡大を注視しつつ、エネルギー、資源、金融安定を含む総合的な備えを怠ってはならない。