
三星(サムスン)電子が世界で初めて開発した10ナノメートル級DRAMの国家核心技術を中国に流出させたとして、元三星電子幹部ら計10人が起訴された。捜査網を避けるため、内部の行動指針や暗号を共有し、組織的に犯行に及んでいたことが分かった。
ソウル中央地検情報技術犯罪捜査部(金潤龍部長検事)は23日、産業技術保護法違反(国家核心技術の国外流出等)と不正競争防止法違反(営業秘密の国外漏えい等)の罪で、元三星電子部長のキム氏(58)ら5人を起訴し、残る5人を在宅起訴したと明らかにした。
被告人らは、三星電子が5年間で1兆6千億ウォンを投じて世界で初めて開発した18ナノDRAMの工程情報を、2016年以降に不正取得し、中国の長鑫存儲技術(CXMT)に渡した疑いが持たれている。特に三星電子研究員だったチョン被告人(57)は、数百段階に及ぶ工程情報を手書きで写して流出させ、CXMTはこれを基に、23年に中国初となる10ナノ級DRAMの量産に成功した。
この過程でSKハイニックスの技術も追加で流出したことが確認された。CXMTでクリーン工程を担当していた別のキム被告人(56)は、20年6月、SKハイニックスの協力会社を通じて、国家核心技術かつ営業秘密に当たるDRAM工程情報を不正取得したとして起訴された。検察は、今回の流出により、三星電子の昨年の推定売上減少額だけで5兆ウォンに達し、将来的な国家経済全体の被害は数十兆ウォン規模に及ぶと見ている。
犯行手口はスパイ映画さながらだった。検察によると、被告人らは偽装会社を設立し、定期的に事務所を移転。「常に国家情報機関が周囲にいると考えて行動せよ」との指針を共有していた。特に、出国禁止や逮捕といった緊急事態が生じた場合、暗号「♥♥♥♥」を仲間に送って状況を知らせる手はずを整えていた。
チェ・ミソン記者 cms@donga.com






