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新生児の心臓が体外に 国内初の生存例

Posted December. 18, 2025 13:44,   

Updated December. 18, 2025 13:44


4月10日、ソウル松坡区(ソンパク)のソウル峨山(アサン)病院新館の分娩室。母親の胎内で38週を経て生まれた赤ちゃんは、心臓に深刻な問題を抱えていた。心臓を守るべき胸骨がなく、胸部と腹部の皮膚組織も十分でなかったため、心房が体外に露出したまま拍動していた。泣くたびに胸に力が入り、心臓と肺の一部が体外に押し出された。このままでは命を保つことは難しかった。

希少疾患である心臓逸所症を抱えて生まれ、生死の境に立たされていたパク・ソリンちゃんが、生後8カ月を迎え、医療陣の献身的な治療の末、最近退院したと、ソウル峨山病院が17日、明らかにした。心臓が体外に露出する心臓逸所症は、100万人に5〜8人の割合で発生する原因不明の先天性希少疾患で、90%以上は出生前に死亡するとされる。生まれても3日以上生存するのは難しい。国内で生存例が報告されておらず、ソリンちゃんが初のケースとなった。

ソリンちゃんに心臓逸所症があると分かったのは昨年11月。1次精密超音波検査の際、病院は両親に「心の準備をするように」と告げた。しかし、3年間で14回の体外受精を経てようやく授かった第2子であり、両親は諦めなかった。最後の希望を抱いて訪れたソウル峨山病院で「心臓の構造は正常」との診断を受け、出産を決断した。ソリンちゃんは胎内で38週を無事に耐え抜いた。

しかし、実際に生まれてみると、状態は超音波検査で確認されていた以上に深刻だった。心臓全体が体外で拍動する症例は国内で初めてで、世界的にも極めてまれだ。医療陣はまず、出生翌日に開いていた胸部と露出した心臓を保護するため、人工皮膚で覆う応急手術を行った。

5月には心臓を胸腔内に戻す手術を3度実施し、6月にはソリンちゃん自身の皮膚を採取して培養した皮膚を胸部に移植することに成功した。生後2カ月で心臓は本来の位置に収まった。その後、胸壁が広がらないよう、3次元(3D)プリンティングを活用したオーダーメードの胸部保護具を製作して装着した。並行してリハビリ治療も続けられた。

ソリンちゃんは徐々に回復し、10月21日に退院。現在は外来通院を続けている。3歳以降には、人工構造物で胸壁を再建し、再び皮膚組織で覆う手術を行う予定だ。

母親は「心臓逸所症の治療事例や情報が極めて乏しい中でも、医療陣が最後まで諦めず、治療法を探し続けて希望を与えてくれた」とし、「ソリンと一緒に家に帰れるよう支えてくれた医療陣に感謝している」と語った。


パン・ソンウン記者 bbang@donga.com