
米マイクロソフト(MS)は、「中東の人工知能(AI)ハブ」を目標とするアラブ首長国連邦(UAE)に総額152億ドル(約21兆9000億ウォン)を投資することを決めた。2023年から今年までのUAE向け投資73億ドル(約10兆5000億ウォン)に加え、2029年までに79億ドル(約11兆3800億ウォン)を追加投資する計画だ。
この資金は、UAEの国富基金が支援する国営AI企業「G42」や、UAEのAI・クラウドインフラの拡張などに使われる予定だ。MSはこれとは別に、ドナルド・トランプ米政権がエヌビディア(NVIDIA)のA100チップ6万400個分に相当するグラフィック処理装置(GPU)のUAE輸出を承認したとも明らかにした。
MSの今回の投資は、トランプ米政権がUAE首都のアブダビに建設を進めようとしている超大型データセンターハブ「スターゲートUAE」プロジェクトとは別のものだ。トランプ大統領は今年5月の中東歴訪時に、「UAEに世界的なデータセンターを建設する」と公言していた。
UAEは原油と天然ガスの販売で得た豊富なオイルマネーを背景に、AI強国を目指して惜しみない支援を注いでいる。4つの国富基金の運用資産だけでも少なくとも1兆8000億ドル(約2590兆ウォン)に達し、その資金を多様な巨大IT企業への投資や関連インフラの拡充に充てている。国民全体に占めるAI利用率は59.4%で世界1位だ。
AI産業の発展に不可欠なエネルギーインフラも整っている。豊富な原油・天然ガス施設に加え、韓国が輸出した「バラカ」原子力発電所4基がアブダビで稼働中だ。さらに世界最大の単一太陽光発電所「アル・ダフラ」など、再生可能エネルギー施設も備えている。AI産業は、膨大な電力を必要とするため、電力インフラの弱い国が多い中でUAEの優位性は大きい。
UAEは伝統的な科学技術大国ではないが、AI分野での研究力は高い。AIブームが本格化する前の2017年に世界初の「AI担当大臣」を新設し、翌年には「AI国家戦略2031」を発表して、化石エネルギー後の国家戦略事業として早くからAI分野を名指した。2019年には世界初のAI専門大学「ムハンマド・ビン・ザイードAI大学」を設立して研究力と人材を育成し、2023年には独自の大規模言語モデル(LLM)も発表した。また、UAEが中東で米国に最も近い友好国の一つであることも、AI産業で先行できる要因の一つとみられている。
林賢錫 lhs@donga.com






