
ヘグセス米国防長官(写真)が、慶州(キョンジュ)で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議直後の来月初め、韓米安保協議会(SCM)出席のため訪韓し、板門店(パンムンジョム)共同警備区域(JSA)を訪れる方向で調整していることが分かった。訪問が実現すれば、米国防長官の板門店訪問は2017年以来8年ぶりとなる。
20日、政府消息筋によると、韓米両国はヘグセス氏の訪韓に合わせてJSA訪問の日程を協議しているという。板門店を管轄する国連軍司令部は、APEC期間を含む来月3日まで板門店の特別見学を中止する予定だという。ヘグセス氏が板門店を訪問する場合、安圭伯(アン・ギュベク)国防部長官が同行するとの見方も出ている。
第1次トランプ政権の2017年10月、マティス国防長官は、北朝鮮が6回目の核実験を強行し、大陸間弾道ミサイル(ICBM)を相次いで発射するなど軍事的緊張が最高潮に達していた時期にJSAを訪れ、北朝鮮に対して警告メッセージを発した。
ただし、現在の米国のインド太平洋政策や韓半島情勢は8年前とは異なるため、今回米国防長官がどのような対北メッセージを発するか注目される。トランプ大統領は北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記に対して対話を呼びかけており、金氏も先月「良い思い出」を口にし「会えない理由はない」と発言している。特に、トランプ政権が訪韓期間中に米朝首脳会談を準備しているとの動きも捉えられている。
ヘグセス氏は訪韓中、米国防総省の国家防衛戦略(NDS)発表を控え、中国牽制に集中するための同盟の負担分担を改めて強調するとみられる。韓国政府は米国の「同盟現代化」要求に応じ、国内総生産(GDP)の3.5%水準まで防衛費を引き上げることで合意しており、韓国の対北朝鮮抑止力強化の必要性を訴える可能性がある。ヘグセス氏は5月のアジア安全保障会議(シャングリラ会合)で、インド太平洋同盟国の防衛費増額の必要性を論じる中で、北朝鮮に一度言及した。
今回のSCMでは、米国防総省が在韓米軍の戦略的柔軟性拡大を共同声明に明文化するよう求めると予想される一方、韓国軍当局は2006年1月に韓米外交当局が合意した「戦略的柔軟性」に関する文言水準を維持する方針を固めたとされる。当時の合意には、韓国が在韓米軍の戦略的柔軟性の必要性を尊重しつつ、その履行に際しては米国が韓国の立場を尊重するという内容が盛り込まれており、同年10月のSCM共同声明にもこの合意を肯定的に評価する文言が含まれた。
申圭鎭 newjin@donga.com






