Go to contents

療養型病院の睡眠薬処方が一般病院の22倍、本当に医学的根拠があるのか

療養型病院の睡眠薬処方が一般病院の22倍、本当に医学的根拠があるのか

Posted October. 09, 2025 09:33,   

Updated October. 09, 2025 09:33


老夫婦を療養型病院(特別養護老人ホーム)に預けた子供たちであれば、病院に面会に行くたびに両親が寝ていることが多いと不審に思った経験があるだろう。病院では、両親が昨晩に寝そびれたとかせん妄の症状が現れ睡眠薬を投与したというふうに説明をするが、真昼に眠りに酔っている両親を見ると、介護の便宜のために保護者に内緒で不要な睡眠薬を投与したのではないか、という疑念を抱かざるを得ない。実際に療養型病院の睡眠薬処方が、一般病院より遥かに多いことが確認された。

健康保険審査評価院が国会に提出した資料によると、昨年全国で睡眠薬処方量が多かった療養型病院100か所の患者1人あたりの平均睡眠薬の処方件数は122.4件で、一般病院上位100か所の患者1人あたりの睡眠薬処方件数(5.6件)の22倍に達した。重症患者が治療を受ける総合病院(6.45件)と比較しても19倍の水準だった。療養型病院は他の病院より入院期間が長く、薬物処方量も多い可能性があるが、重篤な患者がいる総合病院より睡眠薬の処方量が十数倍も多いというのは、常識的に理解し難いのが事実だ。

療養型病院側は、認知症の症状やせん妄のある患者が夜間に突発行動を起こすと転倒事故を遭う可能性があり、病室を共有する他の患者にまで被害が及ぶため、睡眠薬処方が多くなるのは止むを得ないと釈明する。しかし薬物の過剰処方は、それ自体で副作用が懸念されるだけでなく、活動量の減少に繋がり健康に有害になるのは避けられない。保護者の面会が禁止されたコロナ禍の時期、療養型病院の睡眠薬処方が増加し問題になったこともあった。医学的必要性よりも患者を統制するために「化学的拘束」を行っているのではないか、療養型病院の投薬剤と投薬量を厳格に管理しなければならない。

療養型病院の患者6人のうち1人は、入院する必要がないのに自宅で介護する人がいないため病院に残っている。来年下半期から療養型病院の介護費の一部を健康保険で支援する介護費給付化が施行されると、このような「社会的入院」はさらに増える見通しだ。高費用で患者の満足度も低い療養型病院への依存度を減らすには、家庭と地域社会に介護体系を構築し健康増進プログラムなどで介護需要を減らす政策を並行しなければならない。