
慶尚北道慶州(キョンサンプクト・キョンジュ)でのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議を機にトランプ米大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記による板門店(パンムンジョム)での米朝対話が取り沙汰されていたが、トランプ氏の短い訪韓が予想され、対話の実現可能性が低くなっているとの観測が流れている。
韓国政府関係者は3日、「(トランプ氏の)日程に余裕がなく、北朝鮮も『非核化の対話はない』と壁を高くしているため、現時点では米朝首脳対話の実現を期待するのは難しい状況だ」と述べた。ただし「2019年6月、日本での主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)の後、トランプ氏が突然訪韓し板門店会談が行われた前例があるため、可能性が完全に消えたわけではない」と余地を残した。トランプ氏特有の突発的な判断で劇的な会談が実現する可能性は依然として否定できないとの趣旨だ。
最近、トランプ氏と正恩氏はAPEC首脳会議を前に対話再開の可能性を含む発言をしている。正恩氏は先月21日の最高人民会議演説で、トランプ氏の就任後初めて「良い思い出」に触れ、「会えない理由はない」と述べた。ホワイトハウス関係者も同月30日(現地時間)「トランプ大統領は正恩氏と無条件で対話することに開かれている」と明らかにした。
これに先立ち、李在明(イ・ジェミョン)大統領は8月25日(現地時間)のホワイトハウスでの韓米首脳会談で、トランプ氏をAPEC首脳会議に招待し「北朝鮮の正恩氏との会談も進めてみよう」と提案した。外交筋は「米朝間で実務チャンネルを通じた意思疎通はあるものの、意味ある水準ではない」と伝えた。
一方で、正恩氏が中国の「抗日戦争勝利80年」記念行事に出席したのに続き、トランプ氏との会談を通じて国際的地位を誇示する機会を活用しようとしているとの分析もある。このため、トランプ氏が6年前と同じように電撃的な会談を提案し、正恩氏が応じる可能性もあり、韓国政府も注視している。
申나리 journari@donga.com






