先月8日、済州(チェジュ)市の住宅で母子が遺体で発見された。犯人は母親だった。40代の女性で近くの病院で主任看護師として働いていた母親は、病院から医療用薬物を持ち出し、7歳の息子に注射して殺害後、自らにも投与した。普段からうつ病を患っていたとされる
その前の8月26日には、ソウル江西(カンソ)区のオフィステルの建物で母娘3人が転落死した。40代の母親と10代の娘2人だった。住居から遺書は見つからなかったが、債務に関するメモが発見された。
これまで自殺は青年層(10~30代)の死因の最大要因だったが、昨年は40代においても、がん(24.5%)を上回り、初めて死因の第1位となった。40代の死者5人のうち1人(26.0%)が自殺だった。40代の自殺率(36.2人)は前年比14.7%増加した。国家経済を支える「中堅世代」にまで、自殺という名の「社会的災難」ががんよりも速く広がっている。
すべての死を社会的理由だけで説明することはできない。しかし子育てと親の扶養を同時に担う40代の自殺は、経済的苦痛が主要要因となった可能性がある。
コロナ禍後、長引く低成長のトンネルの中で、40代は経済的圧迫とともに情緒的孤立感を味わっている。コロナ禍後に膨らんだ借金は、内需低迷と金利高の状況では息の詰まるような束縛となっている。実際、40代の債務負担は全世代で最も大きい。今年6月末時点で、40代の1人当たりの家計融資残高は1億2100万ウォンで過去最大だった。
借金は雪だるま式に膨らむ一方、所得は減少している。昨年7~9月期の40代世帯の事業所得は前年同期比13.1%減り、過去最大の減少幅となった。厳しい暮らしを送る40代が、ある日突然事故や病気、失職、離婚などの危機に直面すれば、経済的・身体的・精神的ストレスに耐えられず、してはならない選択をすることもある。
過去にも経済危機に見舞われると、自殺率は上昇した。通貨危機直後の1998年、自殺による死者は前年に比べ42.3%急増した。カード大乱があった2002年と2003年も、自殺者数は前年に比べそれぞれ24.5%と26.7%増加した。韓国は2003年以降、20年以上にわたり経済協力開発機構(OECD)自殺率1位という汚名を背負っている。人口10万人当たりの自殺死者数を示す自殺率は昨年は26.2人で、OECD平均(10.8人)の2.4倍の水準だ。2位のリトアニア(18.0人)と比べても突出して高い。昨年だけで1万4872人、1日平均40.7人が自ら命を絶った。
そうした意味で、李在明(イ・ジェミョン)政権のバッドバンク「新たな飛躍基金」が社会的災難を防ぐセーフティーネットの役割を果たすことを期待する。7年以上延滞した5000万ウォン以下の借金を抱える脆弱層や自営業者の融資を帳消しにするもので、恩恵対象は約113万4000人にのぼるという。
さらに、英国のように脆弱債務者に対し「ブリーディング・スペース(Breathing Space・束の間の安らぎ)」を与える方策も検討すべきだ。最長60日間、差し押さえや取り立てを止め、債務返済を猶予する制度であり、特にうつ病など精神的危機にある債務者については治療が終わるまで保護期間を延長する。このように追い詰められた人々には、呼吸できる空間が切実に必要だ。
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