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私の手術同意書、誰がサインしてくれるのか

私の手術同意書、誰がサインしてくれるのか

Posted October. 01, 2025 09:10,   

Updated October. 01, 2025 09:10


先日、ソウルの大学病院で足の切断手術を執刀した医師が経験したことだ。70代の患者は糖尿病合併症で日に日に足が壊死していた。膝下で切断するには一刻も早い手術が必要だったが、患者には認知症があり手術の同意を得るのは難しかった。大手術のため保護者の同意が要るが、息子とは連絡が取れない状態だった。ようやく甥の連絡先を突き止めたが数日間連絡がつかなかった。このままでは切断部位が太ももまで広がりかねなかった。ソーシャルワーカーまで出てきて、やっと連絡がついた甥は、医療陣の懇願にしぶしぶ署名し、今後どんなことがあっても連絡するなと言った。

手術同意書にサインしていない患者は手術室に入れないという言葉があるほど、病院では手術同意の手続きを重視する。患者に手術の内容と合併症を説明し同意を得るのは法的義務であり、医療事故への備えでもある。意識があり判断力があるときは本人署名で済むが、意識不明や認知症の場合は保護者のサインが必要だ。しかし範囲は狭く、親子や配偶者、生計を共にする親族など民法上の家族に限られる。どれほど長い年月を共にした「血より濃い」関係であっても、法的家族でなければ何もできない。

家族なら患者を引き受ける意思があるはずだという前提が今の制度には敷かれている。しかし現実はそれとは隔たりがある。家族と縁を切った場合でなくとも署名人不在の状況は思いのほか多い。80代の認知症の夫を介護する70代の妻が脳出血で倒れ、手術に同意が必要となったが、子どもは米国在住で、病院に駆けつけた女性の友人たちは手をこまねくしかなかったという。高齢夫婦世帯の増加で、こうした事例は今後さらに増えるだろう。

単身世帯も深刻だ。今年全世帯の42%に達し、急病時に誰が同意書にサインして世話をしてくれるのかが最大の不安となっている。保護者が民法上の家族に縛られているために笑えない事態も起きている。『友達を養子にしました』の著者ウン・ソラン氏は5年間共に暮らした友人を娘として養子縁組した。病気の際に助け合う唯一の方法だったという。若い世代はこうした策を取るが、単身世帯で最多は70代以上の高齢層だ。時代錯誤の手術同意制度の直撃を最初に受けるのは高齢者だ。

米国や欧州の多くは、家族だけでなく親しい友人も代理人として医療的決定をできる。韓国でも2022年、患者があらかじめ信頼する人を代理人に指定すれば手術同意署にサインできるようにする法改正が試みられた。しかし親密さをどう証明するのか、医療事故が起きた場合、損害賠償は誰が受けるのかといった議論の中で立ち消えになった。婚姻や血縁関係でなくても2人の成人が合意すれば家族に準じる権利と義務を付与しようとする生活同伴者法も発議されたが、同性愛を容認するという一部の反対に阻まれている。その間に家族の範囲を広げて互いを支え合う関係を増やそうという本質はぼやけている。

医療は時間との闘いだ。手術の同意書が遅れてゴールデンタイムを逃す患者が増えれば、当事者は不幸になり、医療陣は最適な治療ができない。政府もまた背負わなければならない福祉負担が増す。法律上の家族よりも実際に寄り添う人々を締め出す硬直した制度の下では、結局誰も救われない。