韓国政府は人工知能(AI)3大強国への飛躍を目指してスピードを上げているが、教育現場ではAIを教える教師不足により、AI教育が滞っている。今年から「情報」科目は中学校で授業時間が2倍に増え、高校では高校学点制科目として新設された。だがコンピューター基礎教育すら困難なほど、「情報」担当教師が圧倒的に不足している。昨年、京畿(キョンギ)、大邱(テグ)、世宗(セジョン)を除く14市・道では、「情報」教師は1校当たり平均1人にも満たなかった。地域によっては、1人の教師が10校を回って授業をしたり、非専攻者が授業を受け持つこともあるという。
全国にコンピューター教育科がある教育大学はわずか9校で、年間定員は193人にすぎない。過去5年間で定員はわずか10人余りしか増えず、事実上凍結されたままだ。教職課程を運営する40大学のコンピューター関連専攻の定員を合わせても、年間434人しか輩出されない。全国の中高等学校の数に比べれば、供給が需要にまったく追いついていないのが現状だ。
AI技術覇権競争の勝敗は、人材育成と確保にかかっている。その基盤となるAI教育の重要性は、いくら強調してもし過ぎることはない。革新的なAI企業が続々と誕生している中国は、2001年から小学校で「情報」教育を開始し、英才プログラムを通じて科学・技術・工学・数学(STEM)分野の人材を育成してきた。最近では北京市が小中高校で最低8時間のAI教育を義務づけ、AI専門教師100人、核心教師1000人を段階的に養成する計画を発表した。
韓国職業能力研究院は2027年までにAI、ビッグデータ、クラウドなど新技術分野で6万人の人材不足が生じると推計している。先端グラフィック処理装置(GPU)を確保し、AI高速道路を敷くなどインフラが整備されても、それを動かす人材がいなければ、AI強国への飛躍は空虚なスローガンに終わるだろう。AIリテラシーを育て、質の高い人材を養成するには、公教育の役割が不可欠であり、何よりも十分な教師確保が前提だ。小中高校でのAI教育を強化し、教師養成に果敢に投資して、AI強国の骨格から築いていかなければならない。
アクセスランキング