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「性暴行加害者の舌を切断」チェ・マルジャさん、61年ぶりに無罪判決

「性暴行加害者の舌を切断」チェ・マルジャさん、61年ぶりに無罪判決

Posted September. 11, 2025 08:37,   

Updated September. 11, 2025 08:37


「チェ・マルジャは無罪だ!」

明るい表情を浮かべたチェ・マルジャさん(79)が10日、釜山(プサン)地裁を出ながら声を上げた。自身を性暴行しようとした男の舌を噛み切ったとして有罪判決を受けたチェさんが、61年ぶりに正当防衛を認められ、ついに無罪を言い渡される瞬間だった。

釜山地裁刑事5部(金炫淳部長判事)は同日の再審で、チェさんに対する重傷害などの罪について「正当防衛と認められる」として無罪を言い渡したた。61年ぶりに罪が晴れたのだ。傍聴席からは拍手と歓声が上がり、法廷警備員が制止する場面もあった。検察は控訴しない方針を示した。

チェさんは判決後、釜山弁護士会で開かれた記者会見で「無罪を受ければ痛快だと思っていたが、むなしい気持ちもある」と心境を語った。さらに「周囲からは(再審請求は)『卵で岩を打つようなもの』と言われ止められたが、同じような被害者の希望を与えたかった」とし、「性暴力の加害者が厳罰を受けられるよう関連法が改正されてほしい」と訴えた。

事件が起きたのは1964年5月。当時18歳だったチェさんは、自身を性暴行しようとした男の舌を噛み切り、約1.5センチを切断したとして逮捕・起訴され、懲役10カ月、執行猶予2年の判決を受けた。性暴行を防御するための正当防衛だというチェさんの主張は受け入れられなかった。

チェさんは事件から56年が経った2020年5月に再審を請求した。しかし第1、2審では「過去の捜査中に検事が違法拘禁を行い、自供を強要した」というチェさんの主張について証拠がないとして請求を棄却した。最高裁は3年以上審理した末、「チェさんの主張が正しいとみられる状況証拠が十分にある」として事件を破棄差し戻した。釜山高裁は今年2月、チェさんの重傷害事件の再審棄却決定に対する抗告を認めた。

そして釜山地検は7月23日に開かれた再審の結審公判で、無罪を求刑した。


釜山=キム・ファヨン記者 run@donga.com