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金正恩氏、習近平氏と軍事パレードを機に接近…米中対立の隙を突いて関係回復を狙う

金正恩氏、習近平氏と軍事パレードを機に接近…米中対立の隙を突いて関係回復を狙う

Posted September. 04, 2025 08:57,   

Updated September. 04, 2025 08:57


北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記が中国の習近平国家主席と6年8ヵ月ぶりに首脳会談を行い、中朝関係の修復に乗り出した。昨年ロシアとの首脳外交を通じて戦略的同盟関係を構築した正恩氏が、比較的疎遠だった中朝関係を再生させるカードを切ったのだ。米中間の対立が激化する中、北朝鮮がその隙を突いて国際社会で存在感を示し、核保有国としての地位を誇示する狙いがあるとの分析もある。

● 中朝の戦略的意思疎通と高位級交流の強調へ

正恩氏と習氏は同日、軍事パレードを参観した後、釣魚台迎賓館で首脳会談を行った。両者が対面したのは2019年1月以来だ。当時正恩氏はベトナム・ハノイで予定された第2回米朝首脳会談を1ヵ月後に控え、事前調整のために北京を訪問し、習氏と会った。

正恩氏は会談前から習氏との密着ぶりをアピールした。中国は、ロシアのプーチン大統領に準じた最高の礼遇で正恩氏を迎えた。正恩氏が車から降りる場面からプーチン氏に次いで儀典序列2番目に式場に入場するまで、中国中央テレビが中継した。習氏は正恩氏と両手で握手して歓迎した。習氏の妻の彭麗媛氏が正恩氏に「お会いできて光栄です」と韓国語で挨拶する場面も捉えられた。その後、天安門の楼閣に上がるために移動する際も、正恩氏が習氏と笑顔で歓談する様子が長時間放送された。

今回の中朝首脳会談では、途絶えていた高位級交流の活性化が話し合われたとみられる。新型コロナウイルスの影響はあったものの6年以上続いたぎこちない関係を解消し、首脳外交を正常な軌道に戻すことで、両国が合意に至った可能性が高い。韓国国家安保戦略研究院の朴炳光(パク・ピョングァン)責任研究委員は「これまで中朝関係を左右する最も重要な外交形態は首脳会談であり、習氏は中朝間の高位級交流を強化しようと常に強調している」と述べた。

高位級の交流とともに戦略的な意思疎通を強化することも話し合われたとみられる。米朝首脳会談、南北首脳会談のような大きな外交イベントや核実験のような重大事案がある時に、冷戦時代から中朝間で事前協議が行われた伝統を再確認する形だ。

● 正恩氏、核保有国の地位を確固たるものにするための最後のピース

正恩氏にとって今回の中朝会談は、ロシアに続いて中国との関係を再構築することで、米国に対抗する「中朝ロ3ヵ国連帯」を完成させる、いわば最後のピースとも言える。米中対立と国際制裁の中で、中朝関係が一定の緊張と距離を維持してきたが、今回の会談を機に中国から実質的な経済・外交支援を確保する礎を築いた形だ。韓国政府内では、ウクライナ戦争が終戦局面に向かう中、ロシアとの安全保障協力だけでは限界を感じた北朝鮮が外交的孤立とリスクをヘッジ(分散)するために中朝関係の回復を選択したと見ている。

正恩氏と習氏の会談は、米中対立の中で中朝の相互戦略的利益が一致した点でも注目に値する。北朝鮮は米国の制裁緩和または無力化の局面を固めるために中国を利用し、中国もまた韓国・米国・日本の安全保障協力体制の圧力を緩和するバッファー役として北朝鮮との協力復元を図っている。

正恩氏の訪中や中朝首脳会談には、北朝鮮が核保有国としての地位を確立しようとする意図が込められている。習氏との対等な会談の場面は、中国が従来掲げてきた「北朝鮮非核化の原則」に柔軟性を持たせ、核凍結や核保有の容認へと世論を誘導する意図を間接的に示しているとも解釈できる。中国とロシアという国連安保理の常任理事国を後ろ盾に、北朝鮮は核を保有したまま主要国の首脳と対等に会談できる「正常国家」としてのイメージを築こうとしている。これは、米国主導の制裁体制を乗り越える狙いも含まれている。また今後、トランプ米大統領との対面において、この立場を交渉のてこに使う可能性も指摘されている。


申나리 journari@donga.com