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「エヌビディア、中国売上の15%は米政府へ」 トランプ大統領、自国企業にも請求書

「エヌビディア、中国売上の15%は米政府へ」 トランプ大統領、自国企業にも請求書

Posted August. 12, 2025 08:47,   

Updated August. 12, 2025 08:47


 

米半導体大手エヌビディアとAMDが、中国への低性能半導体の輸出再開の許可を受ける条件として、対中売上の15%を米国政府に納付することになった。両社が米国政府に支払う「輸出通行税」だけで少なくとも20億ドル(約2兆8千億円)にのぼるものと推定されている。H20の輸出再開は、H20製造に必要な高帯域幅メモリ(HBM)を納品するSKハイニックス、サムスン電子など韓国企業にとっては好材料だが、同時に納品単価引き下げ圧力の要因にもなり得るとの分析が出ている。

●米紙「米政府、少なくとも20億ドルの収益」

11日(現地時間)、英紙フィナンシャル・タイムズによると、エヌビディアは半導体H20、AMDはMI308の中国輸出を再開する代わりに、各品目売上の15%を米国政府に支払うことで合意した。同紙は「米国企業が輸出許可を得るために収益の一部を政府に支払うのは前例のないこと」と報じた。

海外メディアは、米国政府が今回の措置でエヌビディアとAMDから少なくとも20億ドルを得ることができると推定した。エヌビディアの今年のH20売上予測を米紙ニューヨーク・タイムズは150億ドル、フィナンシャル・タイムズは230億ドルと見込んだ。この数値に15%を適用すると、米国政府はエヌビディアからだけでも22億5千万~34億5千万ドルを受け取ることになる。

米国は今年4月、H20とMI308を対中輸出規制リストに含めた。当時、米中貿易摩擦が激化する中、米国の最新型半導体が中国の人工知能(AI)産業の発展に寄与するという理由からだった。エヌビディアは、低性能半導体を中国に輸出できるよう米国政府に要請した。エヌビディアのジェンスン・ファン最高経営責任者(CEO)は先月と今月6日にトランプ大統領と会い、輸出再開を要請したとされる。米商務省は8日、H20とMI308の対中輸出を許可した。

●利益になれば自国企業の輸出許可も活用

専門家は、エヌビディアとAMDの中国向けAIチップ輸出再開が、両社に高性能メモリを供給するサムスン電子とSKハイニックスに「短期的な好材料」になると見ている。中国のクラウド・データセンター企業のH20の注文が再開されれば、高帯域幅メモリ(HBM)とDRAMの需要が同時に拡大する可能性が高いためだ。

祥明(サンミョン)大学システム半導体工学科のイ・ジョンファン教授は「H20に使われる高性能メモリを韓国企業が主に生産しているので、中国輸出再開は物量増加につながり有利だ」としつつも、「ただし、エヌビディアとAMDが売上の15%を税金として支払わなければならないため、これを協力会社である韓国企業に転嫁し、負担を分担する可能性もある」と指摘した。

今回の合意がトランプ大統領特有の交渉方式を「再確認」させた事例と解釈されることから、対米投資圧力を受ける韓国企業がこれを参考に柔軟な対応を準備すべきだとの指摘も出ている。政府が自国企業に輸出許可を出す代わりに金銭を受け取れる状況は極めて異例だ。加えて、当初H20の中国輸出を阻止した理由である技術流出の懸念が解消されたという状況もない。トランプ式の「交渉条件」としてH20輸出制限を利用したという分析が出る理由だ。

第1次トランプ政権で国家安全保障会議(NSC)中国担当上級部長を務めたライザ・トービン氏は、「中国は米国政府が輸出許可で収益を得たことを喜んでいるだろう」とし、「今やロッキード・マーティンも中国に戦闘機を売って15%の手数料を支払えばいいのか」と皮肉った。

高麗(コリョ)大学国際大学院のキム・フンジョン特任教授(元対外経済政策研究院長)は「トランプ式の圧力は今回が初めてではなく、米国市場での地位を守るには現地生産の拡大が不可避だ」とし、「関税と市場規模の変化に合わせてグローバル生産設備を再配置するのは長期的に必然的な流れだ」と強調した。


イ・ミンア記者 北京=キム・チョルジュン特派員 omg@donga.com