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境界が「可能性」に変わるとき

Posted July. 02, 2025 09:00,   

Updated July. 02, 2025 09:00


世界的なK-POPガールズグループ「HUNTR/X(ハントリックス)」のメンバー、ルミ、ミラ、ジョイは、実は密かに悪魔を狩るハンターである。ある日、悪魔の王・鬼魔(クィマ)に魂を売ったボーイズグループ「SAJA」が現れる。SAJAは観客を魅了してハントリックスのファンを奪い、退魔師の母と悪魔の父の間に生まれたルミの正体が明るみに出る。メンバーやファンにさえ背を向けられる絶望的な状況の中、ルミの養母セリンは、たとえ嘘をついてでもその正体を隠そうと提案する。すべてを元に戻そうと説得するものの、ルミはそれを断固として拒む。「もう隠れません。嘘もつきません!」

Netflixのアニメーション映画『K-POP DEMON HUNTERS(ケイポップ・デーモン・ハンターズ)』は配信直後、世界のオンライン動画配信サービス(OTT)ランキングサイトの「FlixPatrol(フリックス・パトロール)」で1位を記録するなど、世界的な注目を集めた。K-POPと共にラーメンやキンパプなどの多彩なKフードが登場し、目を引く。南山(ナムサン)ソウルタワーが見えるソウルの街並みや、ハングルの看板が並ぶ通りも見どころの一つ。なにより、巫俗やカッ(伝統帽子)をかぶった死神といった設定からは、韓国文化への深い愛着がにじみ出る。ソニー・ピクチャーズ・アニメーションが制作したアメリカの作品ではあるが、韓国文化を真正面から描いた作品は、文化の境界が国境を越えて広がっていることを物語っている。

幼少期にカナダへ移民したメギ・カン監督は、生まれた国と住んでいる国の狭間で、アイデンティティの混乱を抱えたことがあったかもしれない。だが今は、両国のアイデンティティを併せ持つことこそが、こうした独自性豊かな作品を生み出す力となる時代だ。そう考えると、『ケイポップ・デーモン・ハンターズ』は、新しい時代において過去に築かれた「境界」が崩れ、それがいかに「可能性」へと変わり得るかを示している作品である。境界はもはや限界ではない。可能性そのものだ。

「もう隠れません。嘘もつきません!」