
「キッチンはどこにあるの?」
イさん(76)は昨年4月、夫のナさん(81)のこの一言に胸がドキッとした。普段のようにお膳をキッチンに運んでほしいとお願いしたところだったが、夫はキッチンを見つけられなかった。ナさんは結局、アルツハイマー型認知症と診断された。このことにさらに絶望した理由は、イさんも4年前に軽症認知症の診断を受けたからだ。
「夫も認知症ということに、人生が崩れる思いでした。私もますます記憶がぼやけているのに、どうやって生きていけばいいのでしょうか」。6月19日、ソウル江南(カンナム)区の三星(サムスン)ソウル病院で会ったイさんは、ため息をつきながらこのように話した。
国民の20%が65歳以上の超高齢社会に進入し、夫婦ともに認知症にかかったケースも急増していることが分かった。東亜(トンア)日報が国民健康保険公団を通じて確保した資料によると、一家族内で2番目の認知症患者であることを意味する「同伴認知症」の患者は、2019年の2857人から2023年は5327人に増えた。4年間で約86%が増加したのだ。その大半は、老夫婦がともに認知症になったケースだ
これらの人々は、二人とも次第に記憶を失い、家に火をつけそうになったり、一人で病院に行くことも難しくなるなど、日常に支障を来たしている。取材チームが今月、計3組の認知症老人夫婦と彼らの世話をする子供たちに会って深層インタビューしたところ、「世話をしてくれる人もあまりおらず、日常そのものが苦痛だ」と打ち明けた。
夫婦のうち1人が認知症の場合、相手の認知症発症の確率が2倍になる可能性がある、という研究結果もあるだけに、国家支援の拡大が必要だという指摘が出ている。ソウル女子大学社会福祉学科のチョン・ジェフン教授は、「『老老ケア』を後押しできる適合型支援体系の強化が切実だ」と話した。
イ・チェワン記者 イ・スヨン記者 chaewani@donga.com






