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住宅価格高騰で家主が借家人になる「家主伝貰」売りが再登場

住宅価格高騰で家主が借家人になる「家主伝貰」売りが再登場

Posted June. 25, 2025 09:32,   

Updated June. 25, 2025 09:32


ソウル麻浦区(マポグ)にある1700軒余りの大団地の専用面積84平方メートルのマンションが最近、25億ウォンで売れた。一般的な取引と違って、既存の家主が伝貰(チョンセ、住宅の賃貸保証金)の借家人として入居する条件で取引が行われた。この取引を仲介した公認仲介士のA氏は、「入居時から住んでいた既存の家主が、住居価格が最近大きく上がるや差益を実現しようと売り、子供の教育などを理由に当分引き続き居住することを望んで、このような形で取引を行った」と説明した。

●住宅価格の高騰で再登場した「家主伝貰」

最近、ソウル漢江(ハンガン)沿いを中心に、家主が借家人として住む条件で住宅を売る「家主伝貰」の取引が増えている。土地取引許可区域や融資と税金の規制が依然として残っている中、今月に入ってからソウル主要地域の住宅価格が大きく上昇し、文在寅(ムン・ジェイン)政府時期の高騰期に現れた異例な取引方法が再登場したのだ。

家主伝貰取引が増えるのは、最近の市場状況を考慮すると、買い手と売り手の両方に利益になる可能性があるためだ。まず、売り手は直ちに他のところに引っ越さなくても、住宅を売って相場差益を得ることができる。買い手は、売買価格から伝貰価格を除いた差額のみ支払うため、買収の負担が減る。家主伝貰取引は、通常一般的な「ギャップ投資」より伝貰保証金が高いため、買収者はより少ない現金で買収できる。新たに借家人を探さなければならない煩わしさも減らすことができる。

ソウル城東区錦湖洞(ソンドング・クムホドン)のeピョンハンセサン錦湖パークヒルズの専用84平方メートルも、家主が伝貰で入る方法で買収人を探している。家主は売却後、江南(カンナム)圏に乗り換えることを望んでいたが、江南圏の住宅価格の上昇の勢いが激しくなると、売却して住宅価格が安定することを待つという。

城東区玉水洞(オクスドン)の玉水サムスンマンション専用84平方メートルは、20億ウォンで売り物が出ている。公認仲介士のB氏は、「家主が伝貰相場である約7億5000万~8億ウォンで借家人として住む計画だ」と説明した。記者が該当物件に関心を示すと、B氏は「伝貰保証金を8億5000万ウォンにまで上げることができる」と提案した。

●「住宅価格と伝貰価格を煽る恐れがある」

「家主伝貰」というなじみの薄い取引方法は、主に麻浦と城東区など漢江(ハンガン)ベルト一帯で現れている。これは今年3月、江南3区と龍山(ヨンサン)区が土許制で縛られたことで生じた風船効果とみられる。土許制地域では、ギャップ投資がそもそも禁止されるため、投資が可能な地域に需要が集中したという意味だ。

かつて文在寅政府時期の家主伝貰の取引は、強力な融資規制が施行された高価マンションが密集した江南圏や京畿城南市盆唐(キョンギ・ソンナム・プンダン)・板橋(パンギョ)地域で主になされた経緯がある。今も土地許可制規制が適用されない地域のうち、高価マンションが集中している麻浦と城東区などにこのような取引が集中している。

ただ、家主伝貰取引は、住宅価格の上昇期に火付け役になりかねないという指摘が出ている。ギャップ投資の買収人としては、直ちに資金負担が少ないため、より高い売買価格でも取引できる。ウリィ銀行のナム・ヒョクウ不動産研究員は、「家主伝貰取引の場合、売買価格の引き上げ分が伝貰価格の引き上げ分より少なく、買収人としては投資金額を減らす効果がある」とし、「ただ、住宅価格の上昇期には実取引価格の水準が高くなることが、住宅価格の上昇をより一層煽る恐れがある」と懸念した。

伝貰保証金の上昇も煽りかねない、という指摘が出ている。KB国民(クンミン)銀行のパク・ウォンガプ不動産首席専門委員は、「家主の伝貰取引が多くなるほど伝貰物件が減り、伝貰保証金の上昇を煽る恐れがある」と話した。


オ・スンジュン記者 ohmygod@donga.com