
韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領は15~17日にカナダで開催される主要7ヵ国首脳会議(G7サミット)に出席する。就任から11日で初めて多国間外交の舞台に登場することになり、「非常戒厳」後6ヵ月間停止していた首脳外交を再開する場となる。李氏としては、同盟国や友好国の首脳と交流を深めな、自身の構想である「国益中心の実用外交」に本格的に取り組む機会となる。
冷静に見れば、李氏は試練の場に立たされる状況にある。李氏はトランプ米大統領と初めて会う見通しであり、その際に交わされる対話は非常に敏感な内容となる。関税賦課の猶予期限(7月9日)が1ヵ月も残っていない状況で、関税や投資交渉の方向性について意見を交わすことになるほか、在韓米軍の活動範囲を台湾に拡大するというトランプ氏の構想についても議論される可能性がある。
李氏は大統領選挙時に「国益中心の実用外交」を強調した。韓米同盟を格上げし、堅固な日韓関係を目指し、韓中関係は安定的に管理するというのが基本方針だ。前政権が「価値外交」の名の下に韓米同盟に集中した結果、疎遠になった対中国外交を改善しようとする意志が読み取れる。しかし、激化する米中対立の中で両国の信頼を同時に得ることが可能なのかについては懐疑的な見方もある。
目下、トランプ政権は二者択一を求めている。ヘグセス米国防長官が先月、「安米経中時代の終焉」に言及したのがその典型例だ。韓国は長らく安全保障は米国と、経済は隣国の中国と協力してきたが、そのような関係は容認しないという立場を明確にしたのだ。李在明政権は米国の意向に従い、在韓米軍の役割を北朝鮮防衛ではなく中国抑止へと拡大し、韓国の先端製品の対中輸出制限を求められるなど、中国の反発を招く事態となる可能性がある。韓米同盟を強化しつつ中国との関係を改善するという「二兎を追う外交構想」は試練に直面せざるを得ない。
G7の多国間会議にデビューする李氏としては、文字通り国益を中心に据え、実用的な外交構想を首脳外交の現実に適応させる機会を迎えることになる。何よりも、国家の死活的利益がかかる韓米同盟の強化が最優先の基準であるべきだ。世界秩序が激変する時期であっても、この原則は変わらない。李氏はトランプ氏と3年半以上交流し、ウィンウィンの韓米同盟を新たに構築していく責務を負っている。初対面では相互信頼を築き、不必要な誤解があれば解消する機会としなければならない。周辺国との互恵的な関係改善は、G7会議で経験した現実を踏まえ、バランスを取りながら進めていけばよい。