
トランプ米政権が中国に対して「アジアの覇権国を目指している」との認識を示し、韓国を含むアジアの同盟国に対して国防費の増額を要求した。中国牽制に集中するため、在韓米軍を含む海外駐留米軍の再編を公式に進める姿勢を示したのだ。このため、6月3日の韓国大統領選挙で誰が当選しても、関税交渉に加え、在韓米軍の削減を含む再調整問題が緊急の課題となる見通しだ。
ヘグセス米国防長官は先月31日(現地時間)、シンガポールで開催されたアジア安全保障会議(シャングリラ対話)で演説し、「中国がアジアの覇権国を目指している」とし、「中国がもたらす脅威は現実のものであり、その脅威は差し迫っている可能性がある」と述べた。
米国防長官が特定の国を「覇権国」と明言したのは、冷戦時代の旧ソ連以来、事実上初めてだ。バイデン前政権は2022年、中国を「刻々と深刻化する脅威(pacing threat)」と位置づけた。トランプ政権が8月に最上位の国防指針である「国家防衛戦略(NDS)」を発表する予定であり、中国への対抗措置が大幅に強化されることを示唆したのだ。
特にへグセス氏は、「アジアの同盟国は欧州諸国を模範とすべきだ。北大西洋条約機構(NATO)加盟国は国内総生産(GDP)の5%を国防費に充てている」と述べた。また、「アジアの主要同盟国は、北朝鮮だけでなく、より強力な脅威(中国)に直面しているにもかかわらず、国防費を削減している」と批判した。韓国を含むアジアの同盟国が、北朝鮮だけでなく中国を抑止するためにGDP比で国防費を大幅に増額すべきだと強調したのだ。
へグセス氏は、「中国の侵略を阻止するために米国の戦略方向を転換している」とも述べた。そして、「安全保障は米国と協力し、経済は中国と協力する」いわゆる「安米経中」の誘惑に陥らないよう注文した。
これにより、トランプ政権が在韓米軍の再調整を含むインド太平洋地域の米軍の再編とともに、韓国などの同盟国に対する国防費増額要求を本格化させるとの指摘が出ている。トランプ政権は最近、在韓米軍規模の削減を含む再調整の必要性を公式化している。
中国への圧力強化と同盟国の責任増大というトランプ政権の安全保障戦略が明確になる中、韓国の新政権の初期外交方針が今後の韓米同盟の行方を左右する重要な要素になるとの分析が出ている。外交消息筋は1日、「在韓米軍の削減規模の問題を超え、新大統領が米国の対中国抑止政策にどれだけ協力するかが、同盟リスクを管理する鍵になる」と述べた。
申나리 journari@donga.com