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哨戒機、墜落1分前まで交信「緊急事態の言及なし」

哨戒機、墜落1分前まで交信「緊急事態の言及なし」

Posted May. 31, 2025 09:55,   

Updated May. 31, 2025 09:55


29日、慶尚北道浦項市(キョンサンプクト・ポハンシ)で発生したP-3C海上哨戒機の墜落事故を調査している韓国海軍が、事故の鍵を握るボイスレコーダーを現場で確保し、分析を開始した。事故機の操縦士は墜落1分前まで管制塔と正常に交信していたことが確認されており、わずか1分の間に状況が急激に悪化した可能性が指摘されている。

海軍は30日、事故現場からボイスレコーダーを回収したと発表した。ボイスレコーダーには、操縦士や乗組員の機内通話内容や航空機外との交信内容が保存されており、墜落直前に何が起こったかを解明する重要な手がかりになるとみられている。事故機の操縦士は、墜落1分前の29日午後1時48分に管制塔と交信していたが、緊急事態に関する言及はなかったと、海軍は伝えた。

一方で、事故原因の解明に不可欠なブラックボックスは搭載されていなかったことが確認された。ブラックボックスには、飛行機の姿勢、方向、速度など詳細な飛行情報が記録され、墜落直前の状況を把握することができる。海軍関係者は、「軍用航空機関連の法律には、哨戒機にブラックボックスの搭載を義務づける規定はない」と説明し、「ただし、事故機については、今年末までにこの装置を搭載する計画だった」と述べた。

海軍が同日公開した浦項基地内の防犯カメラの映像によると、事故機は正常に離陸し、ゆっくりと右へ方向を変えていたが、わずか10秒余りで突然地面に急降下するように墜落した。しかし、これまで機体整備には特に問題はなかったとされている。事故機の機種は1966年に米国で製造されたが、韓国海軍はこれを事実上新しい機体に改造する作業を経て、2010年7月に導入した。機体を部品単位まで分解し、再び組み立てる大規模改修は21年8月まで行われた。4~5年ごとに機体改修が行われるため、今年も年末に機体の改修が予定されていた。海軍関係者は、「今年の整備も野戦整備は2月に、部隊整備は4、5月に実施した」と述べた。

事故機が30年に退役を控えていたことから、老朽化による機体の欠陥が事故の原因である可能性も指摘されている。しかし、海軍は「事故機は総1万5千時間の飛行時間が保証されているが、現在までの飛行時間は約6800時間で半分にも達していない」と反論した。

海軍は今回の事故で殉職した将兵が、正操縦士のパク・ジンウ少領、副操縦士のイ・テフン大尉、戦術士のユン・ドンギュ中士、カン・シンウォン中士だと明らかにした。軍当局は彼らの死を殉職と認定し、1階級特進を追叙した。


孫孝珠 hjson@donga.com