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米国防総省高官「在韓米軍削減は排除していない」...中国抑止力が最優先

米国防総省高官「在韓米軍削減は排除していない」...中国抑止力が最優先

Posted May. 31, 2025 09:54,   

Updated May. 31, 2025 09:54


米国防総省の高官が29日(現地時間)、中国を牽制するために、韓国に配置された在韓米軍を削減し、インド太平洋地域の別の地域に再配置する案について「排除していない」と明らかにした。これは、トランプ政権が22日に在韓米軍約4500人を韓国から撤収する案を検討していると報じた米紙ウォールストリート・ジャーナルの報道を否定してから1週間後の発言だ。海外駐留米軍の「戦略的柔軟性の拡大」の一環として、在韓米軍削減が事実上検討されていると公式化したと解釈される。

在韓米軍の削減が、今後同盟国の貢献拡大要求や米国の拡大抑止(核の傘)体制の変化、米朝対話の再開など、韓半島の情勢に大きな影響を与える可能性がある。そのため、6月3日の韓国大統領選挙後に発足する韓国の新政権は「トランプの請求書」という課題を抱えることになるとみられる。

● 米「在韓米軍の駐留形態は対中抑止力確保に最適化」

AP通信は29日、米国防総省の高官2人が、アジア安全保障会議(シャングリラ対話)に出席するためシンガポールに向かう機内でのブリーフィングで、「トランプ政権が中国を効果的に牽制するために、当該地域でどのような軍事的駐留が必要かを判断する過程で、韓国に配置された米軍兵力の削減の可能性も排除していない」と述べたと報じた。

彼らは、「中国への抑止力が私たちの優先事項だ」と強調し、「同盟関係を現代化し、地域の安全保障環境の現実を反映して、韓半島での在韓米軍の態勢を調整するために韓国政府と協力することが不可欠だ」と述べた。また、別の高官は、まだ在韓米軍の兵力規模について最終決定は下されていないが、在韓米軍の駐留形態は今後、北朝鮮防衛だけでなく、中国への抑止力確保にも最適化されるだろうと説明した。8月の国家防衛戦略(NDS)発表を控え、事実上、在韓米軍を域内で柔軟に運用するための適正規模を算出する過程が進行中であることを示唆したと解釈される。

韓国政府の一部では、同紙の報道で議論となった「約4500人」よりも在韓米軍の削減規模がさらに大きくなる可能性があるとの見方が出ている。また、トランプ政権の構想が在韓米軍の削減だけでなく、韓国の対北朝鮮戦力の強化や同盟国の貢献拡大、現在の「核の傘」体制の変化など、韓半島防衛態勢全体の変化を含む可能性があるとの懸念も浮上している。在韓米軍の削減は、現在米政権が検討している内容の「氷山の一角」に過ぎない可能性があるという指摘もある。

NDS策定を総括するコルビー国防次官は、これまで海外駐留米軍を中国対応に合わせて再配置し、同盟国が費用や役割の負担を増やすべきだと主張してきた。在韓米軍は中国牽制に重点を置き、北朝鮮への対応は韓国が主導的な役割を担うべきだという考えだ。米国防総省の高官も同日、「私たちは同盟国やパートナーが自国防衛のためにより多く役割を果たせるよう権限を与える」と述べた。

● 北朝鮮に誤ったシグナルを送る可能性

韓国政府は依然として、在韓米軍の撤収などが韓米間で公式に議論されたことはないという立場を維持している。しかし、米側はこれまで韓米間の非公式な対話の過程で、在韓米軍の戦略的柔軟性の拡大が必要だとの意向を示してきたと伝えられている。韓国政府消息筋は、「韓国の政治的な不確実性が解消されれば、韓米間の議論が本格的に進むだろう」とし、「現在は米政権内で様々なアイデアが散発的に提起される段階と判断される」と述べた。

ただし、在韓米軍の削減などが現実のものとなれば、北朝鮮に対して韓米同盟が弱体化したという誤ったシグナルを送る可能性があるとの懸念が出ている。今後再開され得る米朝対話の中で、在韓米軍の削減が交渉戦略として活用される可能性があるとの見方もある。同紙も以前、在韓米軍削減の構想が「対北朝鮮政策に関する非公式な検討の一環として進められている」と報じたことがある。