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子どもたちが呼べば「ポン」と飛び出す、「ポケットの中のジーニーになる」

子どもたちが呼べば「ポン」と飛び出す、「ポケットの中のジーニーになる」

Posted May. 26, 2025 09:07,   

Updated May. 26, 2025 09:07


黄金色に包まれた洞窟。手のひらほどのランプから妖精が「ポン」と飛び出してくる。華麗なタップダンスと歌、マジックを披露し、舞台を縦横無尽に駆け巡る妖精の口は休むことなく動く。「ラーメンにご飯を入れて食べた」、「願いとしてロッテシグニエルもあげるよ」、「イーブン(Even)に」のような韓国の流行語で観客の心をつかむ。昨年11月22日からソウル松坡区(ソンパク)のシャロッテシアターで公演中のミュージカル「アラジン」で欠かせないキャラクター「ジーニー」だ。アラジン最高の「シーンスティーラー」ジーニーを演じている俳優チョン・ウォンヨンさん(40)に13日、劇場で会った。

●「軽快、友達のようなジーニーを演じる」

チョンさんは制作陣の間で「世界で最も小さいジーニー」と呼ばれている。トリプルキャストされた俳優チョン・ソンファ、カン・ホンソクさんだけでなく、映画でジーニーとして登場した米国人俳優ウィル・スミスに比べても小柄だからだ。しかし、爆発的なエネルギーと存在感は誰よりも大きい。チョンさんは、「開幕して200回以上公演したが、役柄に完全には適応できていない。毎日難しく、毎日新しい」と笑った。

ジーニーはチョンさんにとって特別な役柄だ。10年前、日本でアラジンを初めて見て、「自分がやりたい歌、ダンス、演技の3拍子をすべて見せることができるキャラクターはジーニーだけだ」と確信したという。オーディションの時も、小さく華奢な体格を強みにした。アクロバティック動作の一つである「トリッキング」で華麗に登場し、外国人スタッフの注目を浴びた。

「ブロードウェイのジーニーたちは体が大きいから、少し動くだけでも反応がある。私はもっと動かないと拍手をもらえない」

チョンさんのジーニーは、ボディーガードのように頼もしくはない。しかし、可愛らしくて愛嬌がある。彼は、「他のジーニーより愛嬌があって、ポケットに入れて持ち歩きたいジーニーになりたかった。アラジンにも先生よりも友達のような存在として近づこうとした」と語った。舞台上では、アドリブ「ジガジニ(ジーニー+ギガジ二)」などで機知に富んだ一面を加えた。

●「良い影響を与える俳優になりたい」

ミュージカルのベテランだが、「アラジン」で8分間続く高強度のパフォーマンス「フレンド・ライク・ミー」を歌う前は、いつも緊張する。観客を楽しませるためには、使えるエネルギーの100%を出さなければならないからだという。公演中、体力が底をつき、舞台に倒れ込んだこともあるほどだ。

「この歌の直前はいつも心臓がドキドキして怖い。でも、それだけたくさんの拍手をもらえるので、いつもワクワクする気持ちになる」

劇中、ランプに閉じ込められていたジーニーは、アラジンと出会い、初めて世の中とつながる。チョン氏は、この点に着目し、「自由を渇望する」ジーニーの人間的な面を豊かに表現しようとした。彼は、「演出陣もジーニーを誇張された漫画のキャラクターではなく、人間らしく描こうとしたので、それに合わせて演じた」と語った。

2007年、ミュージカル「宮廷女官 チャングムの誓い」のアンサンブルでデビューしたチョン氏は、「ラ・マンチャの男」、「レント」、「神と共に」など、様々な作品で着実にキャリアを積んできた。

チョンさんは、父親が俳優のチョン・スンホさん、叔母が俳優の羅文姫(ナ・ムンヒ)さんという俳優一家だ。俳優として先に道を歩んできた家族は、いつも彼に演技のアドバイスよりも「良い人になりなさい」と言ったという。願いを叶えてくれる「良きジーニー」のように、チョンさんの究極の目標も「良い影響」を残す俳優だ。

「俳優の仕事をして影響力が生まれたら、それを人々のために使いたい」

アラジンのソウル公演は来月22日まで。7月11日から9月28日までは釜山(プサン)ドリームシアターで公演する。

「何の期待も、考えも持たずに舞台を見に来てください。あとはジーニーが幸せにしてあげます」


サ・ジウォン記者 4g1@donga.com