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カンヌ・ベニスを夢見て、釜山国際映画祭もコンペティション体制に

カンヌ・ベニスを夢見て、釜山国際映画祭もコンペティション体制に

Posted May. 06, 2025 09:48,   

Updated May. 06, 2025 09:48


30周年を迎える釜山(プサン)国際映画祭(BIFF)が新たに創設した大賞が、フランス・カンヌヌ国際映画祭「パルムドール(Palme d’Or)」のように権威ある賞として定着できるだろうか。

1996年に始まったBIFFが、今年9月に開かれる第30回で、これまでの非コンペティション原則をあきらめてコンペティション体制に転換し、部門別受賞作を発表する。「祝祭型映画祭」を目指していた既存の運営方法を変え、本格的な見直しに乗り出したことになる。相次ぐ内部紛争とオンライン動画配信サービス(OTT)による映画市場のコンペティション力が弱体化している中、BIFFが再跳躍できるか注目が集まっている。

●開幕作の受難にOTTの逆襲まで

最近、BIFFは、名声に比べて実利が以前ほどではないという議論によく巻き込まれた。特に開幕作の存在感はますます薄くなっている、という指摘が出ている。2023年の開幕作「韓国が嫌いだから」は、6万の観客動員に止まった。昨年の開幕作「戦と乱」は、ネットフリックスのオリジナルということで「映画祭本来のアイデンティティが揺らぐ」という批判も受けた。映画制作会社の関係者は、「開幕作は、映画祭の方向性と基準を示す顔だ」とし、「コンペティション体系がないために選定基準が不透明で、盛り上げにも限界があった」と話した。

BIFFがコンペティション部門を新設した背景には、急激に変化している産業環境も働いている。パンデミック後、ネットフリックスやディズニープラスなどグローバルOTTが製作と流通の主導権を握り、従来の映画界の影響力は相対的に弱まっている。

これに対し、映画祭も映画上映だけでは作品の価値を証明することが難しくなり、評価体系を整えて権威を与えなければならない必要性が大きくなったという判断だ。また別の映画製作会社の関係者は、「非コンペティションの構造を維持してきたBIFFは、招請作に受賞履歴がないということで流通市場と広報に不利であり、新作誘致にも困難を経験してきた」と話した。

さらに、2023年の人事葛藤と執行委員長の辞退、セクハラ議論などが重なって、未曽有の混乱を体験したことも一役買った。イメージに少なからぬ打撃を受けたBIFFとしては、「大変身」が切実になったのだ。

●「金椿賞」のような魅力ポイントを生かすべき

新設されるコンペティション部門は、大賞と監督賞、俳優賞、芸術貢献賞、審査委員特別賞の5分野に分けて授賞する。大賞受賞作は、閉幕作としても上映される。新人監督だけを対象にした既存の「ニューカレント」より一層広い範囲を包括する構造だ。

BIFFのパク・グァンス理事長は先月29日の懇談会で、「長期的には、カンヌやベニスのようなグローバル映画祭を念頭に置いている。十分な力量があると判断されれば、世界的なコンペティション映画祭への転換も可能だ」と明らかにした。

BIFFの変化の試みに、映画界の人々は概して前向きな反応を示している。映画評論家のチョン・チャンイル氏は、「今は、コンペティションのない映画祭は注目されにくい」とし、「BIFFで受賞した賞が、市場での成功を保障するという公式が作られれば、BIFFの影響力も少しずつ回復するだろう」と話した。

映画祭のマーケティングの面でも、果敢な努力が必要だという意見も出ている。注目を高めるために、大賞に「金椿賞(Golden Camellia Prize)」のような素敵な名前を命名するのも一つの方法だ。椿の花は釜山の市花でもある。

ただ、制度見直しだけでは信頼を回復するには道が遠いという視線もある。長い間維持してきた「観客寄りの祭り」のイメージが、コンペティション中心に変われば毀損されかねないという懸念だ。特に、コンペティション部門を運営し、審査の公正性などに対する議論が起きれば、かえって映画祭はさらに大きく揺れるかもしれない。

映画評論家のチョン・ジウク氏は、「コンペティション部門ができたとしても、カンヌやベニスに進出さえできなかった作品が受賞する構造ならば、権威に限界が生じるほかはない」とし、「人的刷新など積極的な変化を通じて、アジア映画のハブとしてBIFFが積み上げてきた地位を守らなければならない」と指摘した。


イ・ホジェ記者 hoho@donga.com