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「五賊」から「蟻」へ、「思想界」が55年ぶりに復刊

「五賊」から「蟻」へ、「思想界」が55年ぶりに復刊

Posted May. 02, 2025 09:12,   

Updated May. 02, 2025 09:12


学者100人が「1945~1960年、学問的に最も大きな影響力を行使した著作と人物」に挙げたのは、特定人物でも著作でもない月刊誌「思想界」だった(2005年教授新聞)。張俊河(チャン・ジュンハ)さん(1918~1975)が1953年に創刊して運営した雑誌は、戦後の廃墟の中で思想の水源地のような役割をした。1970年に政権によって強制廃刊されるまで、韓国の民主主義と知性史に大きな足跡を残した。

55年が経って先月、思想界が季刊誌として再創刊の第1号を発刊して帰ってきた。張俊河さんの長男で張俊河記念事業会のチャン・ホグォン会長が発行人だ。ホグォン氏は、「時代精神が思想界を呼んでいる」とし、「文明と政治をはじめとする巨大な『転換の時代』に、小さな扉を開くことをやりたい」と明らかにした。

昨今の韓国が直面している現実のせいか、彼の抱負は軽くは聞こえない。権威主義時代の1960代や1970年代に創刊した文芸誌と、1980年代の民主化の波とともに作られた季刊誌は、時代の転換期に韓国社会に代案的想像力を提供した。経営難などでそのような雑誌の大半が消えた時点で、思想界の新しい復刊は、韓国社会のシステムを基礎から再点検する時になったというシグナルのように思われる。

思想界廃刊の決定的なきっかけは、当代の権力者を正面から批判した詩人金芝河(キム・ジハ、1941~2022)の傑作「五賊」の掲載だった。それから半世紀が経ち、韓国が直面している課題ははるかに難解で複合的に変わった。ところが、これを解決しなければならない政界では、依然として互いを「敵(賊)」と指差している。思想界の編集委員を務めた延世(ヨンセ)大学大学院地域学協同課程のパク・ミョンリム教授は、再創刊号の巻頭に掲載した文章「多重文明転換と韓国の多重政治」で、「韓国で、政治は本領を失ったまま、陣営と人物の間の司法戦争に移った」とし、「脱陣営的国家議題の成就に失敗し続けた」と指摘した。

後進的政治が繰り返される間、若者たちは無限競争に追い込まれたために、「共同体の代」が途絶えつつある。最近最も話題になったユーチューブコンテンツの一つは、ドイツのクアツゲザクト(Kurzgesagt)チャンネルの「韓国は終わった(South Korea is over)」だった。簡単に言えば、「韓国は超少子化ですでに滅びの道に差し掛かっており、回復が極めて難しい段階に入った」という内容だ。経済活動人口が史上最多の今は体感できないが、今後は経済と社会、文化の崩壊が予定されており、出生率が直ちに3倍に上がっても苦難の時代は避けられないという主張だ。

事態がここまで至ったのは、「民主化」後、談論が力を失ったせいもある。虎の背中から降り、雪国列車から離れるためには、勇気とともに想像力が必要だ。含意はもっと見守らなければならないが、復刊した思想界はひとまず「生態」と「青年」などをキーワードにしたようだ。競争圧迫が生態的圧力の水準に達している中、無限競争でなければ共同体没落という極端な選択肢以外にも、第3の道があるということを思想界が知らせることを期待する。

思想界の再創刊号の表紙には、進化生物学者である梨花(イファ)女子大学のチェ・ジェチョン碩座教授の詩「蟻」が掲載された。"点/点/点/点が動く//点/点点/点点点/点がどんどん多くなる//点が集まって山を成す//山が動くから、太陽も/従って映る」。蟻たちが山を成せば、太陽も動けるのではないだろうか。